世界有数の老舗メゾンとして知られるエルメス。一般的にはバッグ、スカーフ、香水などの印象が強いかもしれないが、1920年代にすでに時計の発売を開始しており、78年にはスイスのビエンヌに時計製造に携わるエルメス・オルロジェ社を設立している。アルソー、ケープコッドなどの定番コレクションに加えて、昨年はエルメス・マニュファクチュールの機械式自動巻きムーブメント、Cal.H1837を備えた新コレクション、“エルメスH08”を発表。スポーティな新機軸として時計好きの間で話題となったことが記憶に新しい。
さて、気になるのは2022年の新作モデルだが、今回同社がスポットライトを当てたのは、専属デザイナーであるアンリ・ドリニーが1978年にデザインを手掛けた、エルメスの代表作“アルソー”だ。
非対称なラグを備えたラウンドケースがアイコンとなっているアルソーをベースに、プラチナとチタン、またはステンレススチールと素材違いでモデルを展開。ワールドタイムへの独自の解釈を表したモデルに仕上げられており、エルメスらしく旅心を喚起するような新たなスタイルを確立している。
アルソー ル タン ヴォヤジャー
エルメスのためだけに開発された独自開発モジュール、“ル タン ヴォヤジャー”を搭載したアルソーのワールドタイムモデル。赤いマーカーを備えた12時間表示のディスクを操作することで世界24都市のタイムゾーンを表示する仕組みを採用しており、文字盤にはジェローム・コリヤールがデザインしたシルクのスカーフ“カレ”をモチーフにした幻想的な世界地図をデザイン。世界地図の上を重力に引かれる衛星のようにディスクが外周を移動し、時・分と都市表示付きデュアルタイムディスプレイを表示させている。
モバイルカウンターと12時の位置にあるホームタイム表示は、厚さわずか4.4mmのケースに内蔵されている、エルメス自動巻きムーヴメントH1837に搭載された122個のパーツから成るモジュールによって駆動している。
DLC加工を施したブラックマットのチタン製ベゼルを組み合わせた直径41mmのプラチナケースと、38mmのステンレススチールモデルの2モデルがラインナップされており、時計本体と同じくエルメス・オルロジェの工房で製造されたアリゲーターもしくはヴォー・スウィフトのレザーベルトが装備する。技巧を凝らした時計本体はもちろん、ベルトにもメソンで長年培われてきた馬具づくりのサヴォワールフェール(職人技)が光りっている。
■TI×PT(41mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.H1837)。価格不明
■SS(38mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.H1837)。価格不明
アルソー レ フォリー ドゥ シエル
1984年にデザインされたシルクスカーフをモチーフに、エルメスが得意とするエナメル技法のミニアチュール(細密画)を駆使して製作されたアルソーの限定モデル。
マザーオブパールの文字盤には煙を吹き出す二つの煙突が職人の手作業によるミニアチュールで描かれており、ミニアチュールの気球、飛行船のモチーフとともに12時位置に風船がレイアウトされている。ハンドペイントで仕上げられた気球、風船の艶やかな質感、立体的な造形に目を引き付けられる。製造数はわずか24本のため、愛好家垂涎のコレクターズモデルと言えるだろう。
■K18WG(38mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal.H1837)。世界限定24本。価格不明
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エルメスジャポン
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※2022年3月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。
文◎Watch LIFE NEWS編集部