A.レギュレーター機構
一般的な時計は、文字盤中心の同軸上に時・分・秒針がセットされる。
ただ今回取り上げた“レギュレーター”機構の場合は、時・分・秒針がそれぞれ別々に配置されるユニークなデザインをもつ。
写真はコインエッジベゼル、オニオンリューズ、ラグとベルトを固定できる特許取得済みのネジがアイコニックなディテールの、クロノスイス初代レギュレーターウオッチ
レギュレーター機構の歴史は古く、少なくとも17世期にはすでに存在していたと言われている。
そもそもレギュレーターとは、直訳すると“調節装置”という意味になる。つまり、かつて懐中時計の時代に時計師らが完成した時計の時刻調整や精度チェック用に作られた、マスター時計のことを指す。各針が重ならず、それぞれ独立することで時刻を読み違えないようにするためである。
ちなみに12時間で時針と分針が重なる回数は、時針と分針が同軸の一般的な時計の場合は11回、レギュレーターでは12時00分のたった1回だけだ。
そしてこのレギュレーターウオッチの先駆者がクロノスイスだ。1988年に同社から初めて発表という、実はごく最近の出来事である。
当時このアイデアが好評を博し、他のメーカーも追随して開発・製造していった。
<参考文献>
・クロノスイス 公式ホームページ
https://chronoswiss.com/ja/JP/history
文◎松本由紀(編集部)
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