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【価格は50万円アンダー】60周年記念で追加されたオータヴィア初のGMTモデル

 1933年に誕生したダッシュボード オータヴィアは、“Automobile”と“Aviation”を組み合わせたネーミングからも察せられるように、クルマや航空機の操縦時に使うコックピットウオッチとして開発されたモデルだ。クルマや航空機の高速化が飛躍的に進み、レース競技がポピュラーになっていったこの時代、正確なタイム計測のためのクロノグラフは航行に不可欠なアイテムとなりつつあった。そんな時代に生まれたオータヴィアは後に腕時計として展開され、モナコやカレラと同様にホイヤーを代表する機種として、クロノグラフモデルを中心に人気を集めてきた。ここ数年、過去のアーカイブからインスパイアされたモデルを発表しているタグ・ホイヤーだが、2017年にオータヴィアも見事に復活。さらに22年には60周年を記念して、フライバッククロノグラフと、このGMTモデルが投入された。特にGMTモデルはオータヴィアとしては初めてのリリースで、タグ・ホイヤーファンからの注目度も高いようだ。

タグ・ホイヤー オータヴィア 60周年アニバーサリー GMT
■Ref.WBE511A.BA0650。SS(42mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.7)。49万5000円

 まず全体のスタイリングは、タグ・ホイヤーらしく爽やかなブルーをベースにしたフレッシュな仕上がり。42mmという平均的サイズのケースにシンプルで見やすいアラビア数字ダイアルを合わせており、全体にメリハリの効いた端正な雰囲気だ。3針+GMT針の4針構成だが、針のデザインはすべて異なっていて、その使い分けがルックスの美しさ的にも視認性を高める意味でも効果を発揮している。6時位置のデイト表示も見やすく、GMT針やモデル名ロゴのオレンジも差し色としていい味を出しており、1960年代を思わせるビンテージな風味も少し感じさせる。

 ケースやブレスレットはポリッシュとサテンを使い分けており、デザインをより有機的なものにしている。リューズは見た目がかっこいいうえに、ボリューム感があって操作性も良い。ケース自体の厚みはさほどでもないが、タグ・ホイヤーらしい堅牢さはきちんと保たれており、防水性も100mと必要十分なスペックを備えている。ブレスレットも上質で、コマの質感がしっかりしていいて着け心地はかなり良い。バックル部分のカチッとした装着感も安心感がある。ちなみにタグ・ホイヤーはベルトの着脱を簡単にするクイックリリースを採用しているため、ステンレスのブレスレットから革ベルトへの交換も非常にイージーに行える。シャープで現代的なこのモデルも革ベルトを合わせると雰囲気が一気に変わりそうで、ファッションに応じて臨機応変に交換すると楽しみ方が大きく広がりそうだ。ケースバックにはパイロットウオッチであることを誇示するように、クルマのホイールと航空機のプロペラが刻印されている。

 搭載されているムーヴメントは、GMT機能を搭載したCal.7。フォーミュラ1やカレラなど、タグ・ホイヤーのGMT機能搭載スポーツモデルによく搭載されており、すでに高い評価を得ている機械だ。精度はCOSC認定を受けており、パワーリザーブは約50時間。GMT機能についてはGMT針の単独操作が可能なのはもちろんとして、双方向回転ベゼルを備えており、第3時間帯まで表示できる点がポイント高い。ちなみにこのベゼルはセラミック製で独特の光沢感があり、時計全体のフレッシュな雰囲気を大きく高めている。

 色味の美しさやシャープで厚みを抑えたケースデザインは、実用性の高いGMTウオッチにふさわしいもので、ビジネスパーソン向けの時計としてもおすすめできる。全体的に弱点がほとんど見当たらない出来の良さだが、価格は50万円を切っており、優れたコストバリューは健在。アニバーサリーモデルだが製造数限定というわけではないため、店頭で人気となるのではないだろうか。

 

【問い合わせ先】
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL.03-5635-7054
https://www.tagheuer.com

 

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修

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