ドイツブランドと聞くと多くの人は、“高い品質”と“シンプルなデザイン”というイメージを持つ人が多いだろう。機能美を追求したプロダクトが多いのがドイツブランドの大きな特徴と言えるだろう。華美な装飾や、余計なものは排除したドイツ時計の愛好家は非常に多い。とくに、この日本では人気が高く、様々なドイツブランドが日本で展開をしている。
今回取り上げるドイツのウオッチメーカーは”ジン“だ。様々な独自技術を要する同ブランドは、まさに機能美を追求しているメーカーのひとつと言えるだろう。
ドイツの実力派ブランドであるジンの最新作の詳細を確認しながら、ブランドの特色を紐解いていきたい。
EZM13.1
■Ref.EZM13.1。SS(41mm径)。50気圧防水。自動巻き(Cal.Sinn SZ02)。60万5000円
このダイバーズスタイルのクロノグラフは、機能的には最も伝統的なスタイルを持ちながら、技術的に多くの利点を備えた意欲作となっている。
時計機能の中でもっとも重要な要素となる視認性に焦点を当て、EZM13.1にはジンのキャリバーSZ02を搭載。このムーブメントの最大の特徴は6時位置に大きく配置された60分積算計で、経過時間を素早く直感的に読み取ることができる。
文字盤のデザインはアラビア数字を省略することで最適化され、これにより技術的な機能だけでなく、視覚的な機能も強化。
さらに、Arドライテクノロジー、マグネチック・フィールド・プロテクション、ジン特殊オイル66-228といった同ブランドのテクノロジーにより耐久性を高め、水中でのクロノグラフ操作も可能だ。
認証機関DNVによって防水性能を認証されたEZM13.1は、プロユースにも対応する本格的なダイバーズクロノグラフだ。
500m潜水防水という機能を有し、視認性も確保。さらにArドライテクノロジー、マグネチック・フィールド・プロテクションなど徹底的に技術にこだわっていることがわかる。
Arドライテクノロジーとは、機械式時計のムーヴメントのパーツは、それぞれが円滑な運動を行えるよう潤滑オイルが使用されている。
時計内部の空気に含まれている湿気や時計内分に拡散した水蒸気によりこの潤滑オイルが劣化すると、機械式時計の精度に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、ジンのArドライテクノロジーでは、ドライカプセルを搭載、EDRパッキンの使用、プロテクトガスの充墳という3つの技術的要素により、ムーヴメントはほぼ無水の環境となりこの問題を解決。オイルの劣化プロセスと突然の気温低下によるサファイアクリスタル風防の曇りが防止され、信頼性の高い機能と精度が保証される同ブランド独自の技術のことを指す。
このように、独自の技術を開発し、腕時計の開発に取り組んでいる同ブランドはまさにドイツの物作り精神を現在に伝えるブランドと言えるだろう。
この新しいダイバーズクロノグラフをチェックし、ドイツの質実剛健な時計に触れてみてはいかがだろうか。
文◎川田健人(編集部)