編集フナの時計レビュー 話題のトピックス

【価格破壊ウオッチを実機レビュー】10万円台でフォージドカーボン 採用、アンダーン(UNDONE)の限定モデルに注目

 製造機器の進歩やサプライヤー増加などにより、従来は高級時計で使用される素材や技術を採用しつつ、10万円台から20万円台の手の届く価格帯で時計を展開する“価格破壊モデル”が近年になって散見されるようになってきた。

 前々回から、そんな“価格破壊モデル”に焦点を当てて、編集部が注目するモデルを実機レビューしてきたのだが、今回は、アンダーン(UNDONE)のシュンガイト リミテッドエディションをクローズアップしていく。

 なお、ウオッチライフニュースの兄弟メディア(?)と言える、TIMEGear(タイムギア)の公式YouTubeチャンネルでは実機レビュー動画を配信が開始されているので、気になった人はぜひ、そちらもチェックしていただきたい。

【タイムギア公式YouTubeチャンネル】


【今回の実機レビューモデルはコチラ】


シュンガイト リミテッドエディション
■品番;Ref. COL-NCF-SGT
■素材:フォージドカーボン×チタン裏ブタ(サファイアクリスタル)
■サイズ:43mm、ラグの上下約50mm、厚さ16.25mm、ベルト幅22mm
■防水性:20気圧防水
■ムーヴメント:自動巻き(Cal.SW200-1)
■価格:15万6200円


【UNDONE(アンダーン)のブランド紹介】
 カスタマイズウオッチの人気に火を付けた先駆的ブランド。ウェブサイトから簡単にカスタムオーダーできるシステムを構築しており、1本単位でも文字盤、針、ケース、ベゼル、ストラッップまで、自分好みの特殊なカスタムオーダーを行うことができる。

 今回の紹介するのは、レディー・ガガのクリエイティブディレクター、ファッションデザイナー、ニコラ・フォルミケッティ氏がディレクションを手がけた、世界限定199本のスペシャルモデル。モデル名の“シュンガイト”は、デザインを手がけたニコラが好きだという炭素鉱物。シュンガイトの質感をモチーフに、炭素素材であるフォージドカーボンを採用したケースが独特の存在感を主張する。


【外装について】

 耐久性と強度(スチールの5 倍)を兼ね備えたフォージドカーボンを採用。甲冑をイメージしたというフォージドカーボンケース。複雑に面を組み合わせたフォルムが、光の当たり方で独特の陰影を生み出す。


 フォージドカーボンとは、金型に詰めたカーボンファイバーに圧力をかけて鍛造成形する炭素繊維素材。オーデマ ピゲのロイヤルオーク オフショアなどに採用されている高級素材だが、シュンガイトでは従来とは異なる製造方法(従来はケース一つひとつを鍛造して成形していたため時間とコストが必要であったが、本作では、最初に大きなひとつのフォージドカーボンの塊を成形し、そこから必要な数だけ個別に切り出して、それを精密CNCマシンで個別に切断している)を採用することで、約15万円という価格を実現している。


【文字盤について】


 手裏剣をモチーフにしたスケルトンダイアルなど、日本で育ち(沼津生まれで12歳まで日本、ちびまる子ちゃんのタトゥー)アジアにルーツをもつ彼らしいデザインが印象的。ムーヴメントはセリタのSW200-1なので、そこまで機械的に魅力のあるものではない。むりやりスケルトン感を出すのではなく、機械式らしさをさりげなく活用しつつ、手裏剣の形にカットアウトした文字盤から、機械式ムーヴメントの造形をチラ見せするあたりのバランスがうまい。重厚な質感が魅力的。

 針、インデックス、逆回転防止ベゼルのトップにはスーパールミノバ夜光を塗布。ダイバーズスタイルの大振りなインデックスなので、暗闇でも抜群の視認性を確保できます。三角とバーはブルー、ドットはグリーンの夜光を採用し、視認性とデザイン的な遊び心を両立している。


【ムーヴメントについて】


 裏ブタはわずかに搭載するムーヴメントの陰影が見えるカラークリスタルガラスを採用。デザインを手がたニコラの手書きのサインがデザインされ、限定感を高める。ムーヴメントはETA 2824-2のジェネリックムーヴメント、セリタのCal.SW200-1。毎時2万8800振動の自動巻きで、38時間パワーリザーブ。パワーリザーブはやや物足りなさを感じさせるが、10万円台という価格を考えると欲張りすぎかもしれない。


【装着感について】

 サイズは43mm、厚さ16.5mm。大きめのサイズと立体感のあるデザインが強烈な存在感主張するが、フォージドカーボンを採用したことで見た目からは想像できない軽い着け心地を実現している。ケース重量が80グラム(同サイズの一般的な時計は145グラム前後)というのも魅力だろう。


 ケースとベルトを一体化させ(ベルトはケースの裏側に設置)、ベルト接続部分と手首の間に隙間が生じないようにデザインされているため、美観、装着感ともに上々だ。ケースはフォージドカーボンだが、裏ブタはチタン製。ニコラのサインとともに数量限定であることを示すシリアルナンバーをデザイン。限定モデルらしい所有欲をくすぐる仕様だ。


【総評】
 逆回転防止ベゼル、20気圧防水を備えた機能性の高さに加え、フォージドカーボンをケースに採用しつつ、10万円台という手の届く価格を実現していることも大きな魅力。ほかでは見られない特殊な素材、200m防水のスペック、個性的で洗練されたデザインと、3拍子揃った満足度の高いモデルである。


【問い合わせ先】
アンダーン・ジャパン
TEL:03-5774-1447
https://undone.co.jp

 

文◎船平卓馬(編集部)

-編集フナの時計レビュー, 話題のトピックス

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com