20世紀初頭、アメリカ合衆国の経済を支えた黎明期の鉄道に従事したレイルローダー(鉄道員)たちは、過酷な環境下で重労働を担っていた。そんな彼らに鉄道時計を提供し、正確な鉄道運行をサポートしていたのがボール ウォッチである。その栄光のバックグラウンドを称え、現在も頑丈かつ精度に優れる時計作りを実践している同ブランドが、究極的な実用性を追求した次世代モデルとして発表したのが、新作“エンジニア M パイオニア”だ。
■Ref.NM9032C-S2CJ-BK1。904Lスチール(40mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.RR7309-CS)。39万6000円(1月発売予定)
新作における最大のトピックスは、新開発の自社ムーヴメントCal.RR7309-CSを搭載していることであろう。これはブランド初の自社ムーヴメントであるCal.RR7309-Cをベースに、シリコン製ヒゲゼンマイとUV-LIGA(紫外線露光による転写電鋳)プロセスで成型されたはニッケル–リン製脱進機を採用とすることにより、2500ガウス(約20万A/m相当)までの耐磁性能を有したムーヴメントだ。ちなみに、これまで同社の高耐磁モデルのほとんどがソリッドバック仕様(ユニークな開閉式耐磁シャッター仕様もある)であったが、この新ムーヴメントではインナーケースを用いずに優れた耐磁性能を発揮できるため、裏ブタのシースルー化も実現。自社ムーヴメントの動きを堪能できるというのはファンにとってうれしい仕様であろう。耐磁性能以外でも、COSC認定クロノメーターをパス(同検定以上の日差精度-3秒~+4秒内を保証)した優れた精度、そして80時間のロングパワーリザーブを備えるため、非常に実用的だ。
現代基準に即した一級の性能を備えたムーヴメントと言えるが、同社の実用性への強いこだわりはこれだけにとどまらない。新作のエンジニア M パイオニアでは、ムーヴメントにふさわしいケースとして最高クオリティの904Lステンレスステールを用いているほか、暗所においても優れた視認性を発揮する自発光型のマイクロ・ガスライトで形作られたアラビアインデックスを採用するなど、ガワの作りにおいても一切の妥協がない。
ボール ウォッチ史上最強の実用時計といっても決して過言ではないだろう。
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ボール ウォッチ・ジャパン TEL.03-3221-7807
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文◎堀内大輔(編集部)