A.日差2分以内までが一般的に許容範囲とされている
よく時計の精度を表す数値として“日差何秒”と表現される。
この日差とは時計の1日の進み、遅れを表す言葉で、現行品の機械式時計ではマイナス15秒〜プラス25秒以内が一般的。
ちなみにスイスの公的独立機関“スイス公認クロノメーター検定協会”では様々な姿勢差のもと15日間の試験が行われ、平均日差がマイナス4秒~プラス6秒以内であるものにクロノメーター認定をしている。
これに対して一般的に販売されるアンティークウオッチの場合、専門店では日差2分以内が許容範囲とされているようだ。
この差について聞いたところ、1960年代以前の時計のムーヴメントはロービート機と呼ばれておりテンプの振動数が低い。
対して現行品はハイビート機という、テンプを高振動化させたものが搭載されており高い精度が出しやすい(詳しくはQ.41)。もちろん機械自体が古いということもあるが、アンティークと現行品ではこの性能の差も大きいようだ。
そのためアンティーク専門店いわくアンティークはそもそもがそういうものだという認識をもって楽しんでほしいとのこと。
キャリバー352を搭載するオメガのクロノメーター機。優秀な巻き上げ効率を実現し、安定した精度を確保している
なお当時のクロノメーターモデルなど、しっかりと作られたものならばロービートであっても調整次第で精度をさらに追い込むことができる。
実際、日差1分以内に調整をして販売する店舗もあるとアンティーク専門店は言う。
もちろん過度な期待は禁物だがアンティークの精度はよくないとは一概に言えないのである。
文◎松本由紀(編集部)
【関連リンク】
■Q10.アンティークウオッチとは、いつ頃の時計を指すのか?
■Q41.機械式時計の振動数とは何か?
■Q43.高級時計でよく聞く“クロノメーター認定”とは何か
■Q22.アンティークウオッチに採用されている、スネイルタキメーターとは何か?
■Q44.アンティークでよく聞く“リダン文字盤”とは何【アンティークウオッチ編】