A.釣鐘(つりがね)のつり手である竜頭と、懐中時計の輪っか部分をかけたため(諸説あり)
時刻や日付け調整をする際に操作するリューズ。漢字では“竜の頭”と書く。ではなぜこの漢字が使われるようになったのか。それは懐中時計が誕生する前まで遡る。
日本のお寺にある釣鐘(つりがね)は、中国の様式を倣ったものが大半。その中国由来の釣鐘は、梁(はり)に吊るすためのつり手に、蒲牢(ほろう)という中国の伝説の生き物が装飾されていた。
これは、よく吼えると言われた蒲牢を用いることで鐘の音が遠くまで良く響いて欲しいという願いがこめられていたと言われている。
さらに蒲牢は竜に似ていたことから、日本では釣鐘のつり手部分を“竜頭”と呼んでいた。
懐中時計は写真のように、紐を通して携帯できるように、リューズに輪っかの部分がある。これと釣鐘の竜頭をかけていたと思われる
やがて、日本に輸入品として懐中時計が入ってくると、時報としての役目も担っていた鐘の音もだんだん懐中時計に引き継がれていった。その懐中時計には時刻を調整したりするボタンのようなものが出ており、そこにはひもを通して持ち歩けるように輪っかが設けられていたことから、釣鐘になぞらえて”竜頭”と呼ばれるようになったと言われている。
文◎松本由紀(編集部)
<参考文献>
・シチズン公式サイト>サポート>用語集>りゅうずの歴史
【意外と知らない時計知識】
■Q1.腕時計の防水性能表示「m(メートル)」と「BAR(バール)はそもそも何が違う?【ダイバーズ編】
■Q2.ローマ数字インデックスにおいて、4はなぜ“IV”ではなく“IIII”とするのか
■Q3.時計の時表示はなぜ“0(ゼロ)”ではなく“12”なのか
■Q4.“m”表示の防水性能以外で、潜水用ダイバーズウオッチに必ず必要なものとは?【ダイバーズ編】
■Q5.日常生活において磁気の影響を受けてしまうのはどんなとき?
■Q6.ハイスペックな潜水時計に装備されているバルブは、なんのためにあるか【ダイバーズ編】
■Q7.街中にある大時計には、なぜ秒針がないのか
■Q8.東京2020オリンピックおよびパラリンピックのオフィシャルタイムキーパー(公式時計)を務めたメーカーは?
■Q9.ダイバーズウオッチを着けて海水浴をしてしまった。洗ったほうがいいの?【ダイバーズ編】
■Q10.アンティークウオッチとは、いつ頃の時計を指すのか?
■Q11.“GMT機能”のGMTって何の略?
■Q12.“牡蠣”を意味する英語名が付くロレックスの3大発明とは?【ロレックス編】
■Q13.ロレックスの3大発明のひとつ“パーペチュアル”。開発を迫られた大きな理由とは?【ロレックス編】
■Q14.時計のムーンフェイズ機構、ある職業の人たちにとっては欠かせないものだった。それはどんな人たちか?
■Q15.“鳩時計”は正式名称ではない。では正式には何と呼ぶのか
■Q16.国産初となる完全防水時計って何?
■Q17.ロレックス3大発明のひとつ“デイトジャスト機構”開発の発想の原点は何か【ロレックス編】