》大好きな"ジェームズ・ボンド”と劇中に登場した時計に注目
2021年10月1日、「007」シリーズ第25作目である「No Time To Die /ノー・タイム・トゥ・ダイ」が公開された。 今作を最後にジェームズ・ボンド役を卒業する、ダニエル・クレイグが架空の英国MI6諜報員を演じて、新たな冒険を繰り広げるが、時計好きとしては彼の手首に装着されたオメガのシーマスター・ダイバー300Mコーアクシャル マスター クロノメーターにも注目していることだろう。
しかし、今回注目したのは最新作ではなくて、私的に好きな「007」シリーズの過去作について。映画を2本と映画とともに彼が着用した時計も紹介する。
まず、最初に「007」シリーズの主人公であるジェームズ・ボンドが生まれた背景を説明するが、1952年にイギリスの小説家イアン・フレミングによって生み出された架空のキャラクターである。
61年、映画プロデューサーのアルバート・ブロッコリとハリー・サルツマンが007の映画を共同制作するためにイーオン・プロダクションズを設立し、62年にショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じる初の映画『007は殺しの番号(原題:Dr. No)』を公開。
原作者であるイアン・フレミングが書いた「007」シリーズ時計の好みについては、ジェームズ・ボンドはロレックスと共にしており、フレミング自身もロレックスのエクスプローラーのRef.1016を保有していたが、映画シリーズ内でジェームズ・ボンドが身に着けている時計は異なる傾向がある。
《『007/ゴールドフィンガー(原題: Goldfinger)』:1964年–ロレックス サブマリーナー》
『007/ゴールドフィンガー』はシリーズ第3作目で、ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド演じている。劇中でボンドは、オーリック・ゴールドフィンガーが“グランドスラム作戦”と称し、ケンタッキー州北部にあるフォートノックスの金塊保管庫を攻撃し、莫大な利益得ることを知り、金塊の密輸出入計画を阻むという内容である。
この映画でボンドが着用しているのは、ロレックスのサブマリーナ Ref. 6538。 冒頭でボンドが時計を見るシーンが2回ある。
1回目は爆発物のタイマーをセットする際、2回目は潜水服からタキシードに着替えた後、タバコに火をつける前に時計を見て、爆破までの残り時間を確認している。
本作品ではカスタマイズしたアストンマーチンDB5でのカーチェイスや、好きなマティーニをかき混ぜるのではなく、振って飲むなど、ボンドらしい姿を見せているのが印象的だ。
なお、ロレックスのサブマリーナー、Ref. 6538は、ジェームズ・ボンドの1作目『007は殺しの番号』原題: Dr.Noと、2作目の『007/ロシアより愛をこめて』原題 : From Russia with Loveにも登場している。
《『007は二度死ぬ(原題:You Only Live Twice)』:1967年–グリュエン プレシジョン 510》
もうひとつ、大好きな作品に挙げられるのが、シリーズ5作目の『007は二度死ぬ(原題:You Only Live Twice)』だ。前段同様、ショーン・コネリーがボンド役で出演しているが、主に日本で撮影されていることが個人的に好きなポイントである。
ストーリーは香港で死を偽装したボンドが日本に呼ばれ、アメリカ、NASAの宇宙船ジュピター16が正体不明の飛行物体に捉えられた真偽を調査するというものだ。
アメリカは旧ソビエト連邦(現ロシア)の仕業ではないかと疑うが、イギリス側は日本海で着水したことから日本が関与がしているのではないかと疑うこととなるのだが、ナンバー1ことエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドが率いる世界的な犯罪組織“スペクター”が、邪悪な計画の背後にいることが判明する。
1967年当時の銀座の風景やカラフルなネオン、日本語を話す着物姿の女性、落ち着いたバーやクラブ、悪役である大里薬品の舞台となるホテル・ニューオータニ。ボンドチームのヘリコプターが巨大な磁石を用いて悪役の車を東京湾に落下させる東京タワーの情景。ボンドは伝統的なマティーニの代わりに日本酒を飲み、日本語でいくつかのフレーズを話しているのも印象的だ。
本編でボンドが時計を身につけているシーンはクローズアップされていないのだが、一説にはグリュエンのプレシジョン 510を着けていたと言われている。
1作目である『007は殺しの番号(原題: Dr. No)』でボンドがトランプをしている冒頭のシーンで、タキシードのシャツの袖口の下に、この作品で着けていたとされる時計と似たグリュエンのプレシジョン 510がわずかに見えることから、有名なボンドウォッチ研究家のデル・ディートンが推測したものだ。
本編ならびに1作目の『007は殺しの番号』で身につけていたゴールドのグリュエン プレシジョン 510は演じていたショーン・コネリーの個人的なコレクションであったと言われている。
シリーズ全編を鑑賞して推しのジェームズ・ボンドを探すのもよし、映画館で最新作を観るもよし、色々な楽しみ方ができる“ジェームズ・ボンド”シリーズは、秋の夜長を楽しむのに、ピッタリな作品である。
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
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