オメガ シーマスターのなかでも、とりわけドレッシーで気品ある雰囲気をただわせていることで、年齢層を問わずに人気の高いアクアテラ。2021年新作として発表されたスモールセコンドモデルも、すでに大きな注目を集めている。38mmと41mmの2サイズ展開だが、バランスが良く使いやすいのはやはり41mmの方だろう。今回はこの41mmをチェックしてみた。
シーマスター アクアテラ スモールセコンド
■Ref.220.10.41.21.02.002。SS(41mm径/13.2mm厚)。15気圧防水。自動巻き(Cal.8916)。73万7000円
文字盤上のアイキャッチになっているのは、全面にあしらわれた横縞だ。いわゆるチークパターンと呼ばれるこの横縞は、船の甲板に敷かれたウッドデッキを彷彿させる。シンプルではあるが文字盤全体をシャープに引き締め、理知的な印象を与えるスマートなパターンだ。アプライドインデックスや針はブラックで縁取りされ、シルバー地の文字盤とのコントラストを強めて、視認性を高めている。
ここまではかなり現代的な意匠を取り入れているのだが、そこに伝統的なスモールセコンドを合わせたところがオメガらしい。クラシカルで落ち着いた雰囲気のスモールセコンドを、ちょっとカジュアルなスタイリングの文字盤に合わせることで、スポーティブさとドレッシーさを両立させたような雰囲気に仕上げている。こういったバランス感覚に長けたオメガらしいデザインだ。
ベゼルやケースエッジ、3連ブレスなどは鏡面とブラッシュ仕上げを巧みに使い分けて、メリハリを生み出している。最近のオメガは外装の品質が俄然レベルアップしているが(同時にそれだけ価格帯もアップしているのだが……)、このアクアテラもディテールまで抜かりのない非常に高級感ある仕上がりになっている。装着してみると41mmというサイズ感はやはり絶妙で、腕へのなじみがいい。持った感じだとややずっしりした厚みを感じるが、ラグの処理など腕へのフィット感を十分に考慮していて、装着してみるとちゃんと腕になじむように計算されている。
ムーヴメントは新キャリバーのCal.8916を採用。コーアクシャル脱振機採用のクロノメーターで、60時間という余裕のあるパワーリザーブ、1万5000ガウスの超耐磁性能と実用的なスペックを誇る。ロジウム仕上げのローターとブリッジも美しく、仕上げにも余念がない。外装のリッチな雰囲気に負けないクオリティの機械といえる。
爽やかなスポーティブさや遊び心を感じさせつつ、アクアテラらしい高級感ある風格も備えており、スーツでもカジュアルでも使えそうな守備範囲の広いモデルだ。6時位置のスモールセコンドが生真面目な印象をアップさせており、さらにディテールの繊細な仕上げが時計としての気品を高めている。文字盤のカラーリング違いやゴールドモデルなどバリエーションも豊富だが、特にこのステンレススチールのシルバー&ブラック文字盤は、嫌味がなく使いやすいモデルだと思う。デザイン的にも品質的にもレベルの高い外装に加え、信頼性の高いマスター クロノメーター認定モデルであることを考えると、73万7000円という価格は決して高くはないだろう。
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オメガお客様センター TEL.03-5952-4400
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構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修