2021年の中秋の名月は9月21日(火)でちょうど満月だそうだ。そうなると心配なのは当日の天気。現在の予報では曇りのち晴れとなっているが果たしていかに…。ということで今回は在庫も残りわずかとなってしまったが、アウトラインのムーンフェイズクロノグラフ7768をあらためて取り上げたいと思う。
ムーンフェイズクロノグラフ7768は、ストップウオッチの機能であるクロノグラフに月の満ち欠けを表す月齢表示としてムーンフェイズが付いた高機能手巻きモデルである。最大の特徴はデッドストックとして偶然に発見されたバルジュー社の手巻きクロノグラフムーヴメント、Cal.7768を搭載している点だ。
真鍮ケース(裏ブタはステンレススチール)。ケース径36mm。非防水。手巻き(Cal.Valjux7768)。革ベルトはアリゲーター(トカゲ革)。17本限定(裏ブタに製造番号刻印)。定価24万2000円
実は発見されたのはムーヴメントだけでなく、それを搭載した腕時計ごと見つかっており、80年代に日本で実際に販売されていたものだったのだ。しかもその本数たるや20本ちょっととごくわずかだったため、ケースを作り直すとなると1本あたりのコストが跳ね上がってしまう、そのためムーヴメントとケースは再利用して、インデックスと針類を含めて文字盤全体を筆者がリデザイン。ゴールドのアルファ針にアップライト仕様のローマンインデックスを合わせて1950年代風のまったく新しいデザインで製品化したというわけだ。
ムーヴメントはもちろんだがケースも綺麗なものだけを厳選して採用している。そのため製品化できたのはわずか17本だけだった。
搭載されている手巻きクロノグラフムーヴメント、バルジュー7768。毎時2万8800振動。42時間パワーリザーブ。手でゼンマイを巻くときの「カリカリ」音がなんとも心地いい
ちなみにこのムーヴメントの製造メーカーであるバルジュー社とは、1901年創業のクロノグラフムーヴメントの名門で時計好きなら知らない人はいないほどだ。このCal.7768も90年代で生産を終了している。それがまったくの未使用でしかも日本で見つかるというのはかなり珍しい。
また、ムーンフェイズクロノグラフ7768には80年代のオールドムーヴメントだからこその味わい深い特徴がもうひとつある。それは6時位置にあるムーンフェイズの小窓からのぞく月だ。よく見ると顔が描かれているのがわかるだろうか。かつては顔があるのが一般的だったのだが、20年ぐらい前から徐々に姿を消し、いまではほとんど描かれなくなってしまった。そのため現行品で目にすることはまずない。この点も大きな魅力と言えるだろう。
扇状の小窓で月の満ち欠けを表すムーンフェイズ。現在はほとんど描かれなくなった顔が、オールドムーヴメントならではの古典的な味わいを醸す
現在、残りわずかだが当ウオッチライフニュースのオンラインSHOPで販売している。なお、ムーヴメントはそのまま使うのではなくすべてオーバーホールを実施し、調整を行なったうえで組み上げられている。そのため30年以上経ってはいるものの、ムーヴメントについては1年保証が付いているためご安心を。