タグ・ホイヤーのなかでも、アクアレーサーはブランドを代表するツールウオッチであり、重要なポジションを占めるコレクションだ。
2021年のアップデートによってコレクションは再編され、ケースサイズは43mmと36mmの2種展開に。36mmの小振りなモデルもかなりユニークだが、今回のメインは43mmのモデルのほうだろう。このモデルにはそれぞれブルー、シルバー、ブラック文字盤のステンレススチールモデル3種と、グリーンのベゼルと文字盤を採用したチタンモデル1種類がラインナップ。9月には新たにラバーストラップの3モデルと限定モデルも発売された。この豊富なバリエーションのなかから今回はチタンモデルをクローズアップしてみよう。
■Ref.WBP208B.BF0631。TI(43mm径/11.75mm厚)。300m防水。自動巻き(Cal.5)。49万5000円
まず文字盤はサンレイ仕上げになっており、従来のアクアレーサーの特徴的なデザインである水平パターンのエンボス加工が入っている。8角形のドットインデックスとアルファ時針の組み合わせはシンプルだが視認性はバッチリで、ダイバーズウオッチとして美しくまとまっている。グリーンのトーンは非常に独特で、深みを感じさせつつも光の当たり方によってサンレイの輝きが変わるため、表情の変化はかなり面白い。逆回転防止ベゼルは12角形の独特なフォルムだが、ラウンド型の回転式ベゼルよりもグリップ感が高いので、ダイビング時の操作には重宝するだろう。
ケースはチタン素材が使われているだけに質感は上々だ。ラグが短いフォルムもまとまりが良い。ブレスレットは簡単にサイズ合わせできるクラスプシステムを備えており、装着したままで最大1.5cmのエクステンションができる仕様になっている。この辺はスポーツウオッチに長けたタグ・ホイヤーらしい工夫といえるだろう。ケースバックには潜水士のモチーフが入っていて、このデザインも何げにかわいらしい。
防水性能は300mと以前のモデルと変わらず。搭載ムーヴメントは毎時2万8800振動、約38時間パワーリザーブの自動巻きCal.5だが、従来と異なり日付表示が6時位置に置かれているのがユニークだ。Cal.5はタグ・ホイヤーの基幹ムーヴメントとして長く採用されてきた実績があり、メンテナンス性も高いので、安心して使えると思う。
ケースサイズが36mmと43mmの2展開ということで、36mmはユニセックスとしてカップルでシェアして使うユーザーが多いだろう。一方でこちらの43mmだが、実機をチェックしてみると数値ほどの大きさを感じさせず、シンプルなデザインなだけにシチュエーションを選ばずに使えそうな時計だと感じた。特にシルバーやブラックのステンレスモデルであれば、スーツと合わせても全然いけそうな雰囲気だ。49万5000円という価格は、昨今の時計相場の高騰と、チタンを使った完成度の高い外装の質を考え合わせると、コストバリューの良さを感じる。ステンレスモデルであれば35万7500円と、かなりハイパフォーマンスなプライスゾーンだ。
■Ref.WBP201A.BA0632。SS(43mm径/11.75mm厚)。300m防水。自動巻き(Cal.5)。35万7500円
世代を重ねてどんどん完成度を上げているタグ・ホイヤー アクアレーサーだが、今回のアップデートは非常に魅力的な調整機構が付いたブレスレットも含め、相当な気合が入ったものだと感じさせる。
【問い合わせ先】
LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL.03-5635-7054
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構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修