A.時計のサイズが大きくなれば、比例して針の重さも増すため、秒針を動かす動力が大きくなる
腕時計においては当たり前となっている秒針だが、駅のホームやビル、高い塔などに取り付けられている“大時計”には秒針がないことにお気づきだろうか。
腕時計の秒針は細く、軽量にできているため小さな力で動かすことが可能だが、時計は大きくなればなるほど針の重さも増してしまい、垂直方向からの重力も大きくなる。特に時分針とは違い常に秒単位で運針を続ける秒針の場合は、さらに負荷が大きくなりその重力に耐えきれず針を動かすことができなくなってしまう恐れが出てくる。そのため街中に設置されるような大時計には秒針が設けられていないのだ。
1時から5時くらいまでの針が下りに向かう時であれば、自重による力も加わって針を動かせるのだが、7時から12時までは重力に逆らって針を持ち上げようとするため針の速度が遅くなる。毎秒の運針力を一定にするためには、それに対応する複雑な機構を組み込まなければならない。
こちらは東京にある有楽町センタービルのシンボル、マリオン・クロック。写真では10時から22時まで毎正時行われる、約4分半弱にも及ぶからくり演出が行われている(撮影:編集部)
このような理由により秒針が設けられていないのだが、分針にも実はちょっとした工夫が施されている。動力の影響による負荷を少しでも軽減するため、一般的な大時計の分針は1分を2回に分けて30秒ごとに運針させてなるべく動きを少なくしているのだ。
文◎松本由紀(編集部)
参考文献:織田一朗『知ってトクする 時と時計の最新常識100』(ホーム社、2000年)P183〜P185
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