2020年に発表したメテオライトウオッチが大きな話題を集めるルノータスが、またも時計ファンを唸らせる新作を投入してきた。 “A904”と名付けられたその新作は、ずばり外装に904Lと呼ばれる高品質なステンレススチールを採用した、渾身のブレスウオッチだ。
A904
カスタムウオッチブランド、ルノータスが最新作として投入してきたのが、ごく限られたモデルでしか採用されていない“904Lスチール”を外装に用いた高品質なブレスウオッチである。素材の特性を最大限生かす、昨今のトレンドを押さえたシームレスなデザインも大きな魅力だ。
■ステンレススチールケース&ブレス。ケース径42mm。10気圧防水。自動巻き(Cal.ETA2834-2)。9万1500円(基本価格は8万2000円で、すべてのオプションを入れた最高値は9万4000円)
ステンレススチールは腕時計の外装で一般的に用いられる素材のひとつだが、その種類は大きく3種類に分けられることはご存じだろうか。
素材特性はもちろん単価や加工コストの違いから、主にカジュアルウオッチでは“304”、高級腕時計では“316”が用いられることが多く、そのなかで上位に位置付けられるのが“904”と呼ばれるスチール素材だ。これは以前まで腕時計では、最強の実用時計として知られるロレックスだけが唯一採用していた素材でもある。
いまでこそ他ブランドでも904を採用するモデルを見かけるようになったが、素材自体が高価ということに加え、加工が非常に難しいため、その数はまだ圧倒的に少ない。
時計界最強、“904Lスチール”って何だ?
ひと口にステンレススチールといっても、その種類は200種以上あるといわれる。ただ宝飾品という側面をもつ腕時計のケースやブレスレットは、磨きをかけることが多いことから、介在物の少ないステンレススチールが用いられるため、大きくは3種類に絞られている。最も一般的なのが304といわれる種類。今回、ルノータスのA904で使用されるのは、そのなかで最上級に位置付けられる904Lだ。優れた特性を備える反面、加工コストが掛かるため、かつて腕時計ではロレックスしか使用していなかったが、近年、加工技術の進化によって、徐々に採用するメーカーが増えてきた。とはいえ、その数はまだ圧倒的に少なく、ルノータスのA904のように10万円以下の価格で実現しているモデルはおそらく初であろう
そんな特殊な素材を使用していること自体A904の凄いところだが、それ以上に驚かされるのは8万円台からという価格設定である。おそらく904採用モデルでは世界最安値ではないか。
もっとも、安かろう悪かろうでは決してない。ルノタースの前身は時計ケースのOEM製造なども担ってきた金属加工メーカーであり、だからこそ品質にもこだわりつつ、これほどの低価格化を実現できたのだろう。しかも搭載するのは信頼性の高いETA社製の機械式ムーヴメントというから、さらに驚きだ。ETA社製ムーヴメントを搭載しただけでも、10万円前後というモデルがざらにあることを考えれば、いかにA904のコストパフォーマンスが優れているのかがおわかりになるはずだ。
またA904ではルノータスの真骨頂である“カスタマイズ”できる点も大きな魅力。ラバー仕様が選択できるほか、ベゼル、文字盤、ミニッツリング、針などのカラーもセレクトできる。その組み合わせは実に1536通り。公式サイト内のシミュレーションページでぜひお試しあれ。
Check01 素材も仕上げも高品質
金属加工メーカーとして培った優れた技術を発揮し、加工が難しいとされる904Lにも上質な仕上げが施される。ブレスレットなどのエッジもあえて立たせすぎず、心地よい肌触りを追求した
ケース径は42mmと決して小さくはないが、ケースと一体型となったブレスレットを採用しているため、装着感も抜群だ
ムーヴメントは、デイト仕様のETA2824-2もしくはデイデイト仕様のETA2834-2(+3500円)から選択可能
Check02 カスタムオーダーに対応
ルノータスウオッチ最大の魅力ともいえる、“カスタムオーダー”にも対応している。現状ではベゼルが3色、文字盤が各2色(搭載ムーヴメントによって異なる)、文字盤外周にセットするミニッツリングが4色、さらに時分針2色、秒針4色のなかから選べるほか、ラバーストラップ(3色)の組み合わせが可能。組み合わせ次第で、ポップな雰囲気からラグジュアリーな雰囲気まで、それぞれ好みの1本をカスタマイズしてほしい。
文◎堀内大輔(編集部)/写真◎水橋崇行
【問い合わせ先】
ルノータス TEL.0743-83-0477
https://renautus.com/