》フランスブランドならではの美意識が光る日本未上陸の独立系ブランド
Neucarl(ニューカール)は、デザインを通してポジティブな感情を呼び起こす時計を作ることに情熱を注いでいる、フランスの独立系時計ブランドだ。起業家であると同時にデザイン、現代アート、建築に造詣が深いフランソワ・カーリエによって設立され、クラウド・ファウンディングの支援により、2020年に最初のコレクション“Sept Mai(セプト マイ)”を発表して本格的に時計ブランドとして活動を開始している。
カーリエは当初から、“数多くのマイクロウオッチブランドが採用している標準的な時計のデザインは使いたくない”、という意思があり、“セプト マイ”でも強いアイデンティティとユニークなキャラクターを時計のデザインとして具現化している。
そのフォルムは、流れるようなラインと軽やかなデザインで構成されているが、これはポストモダン建築からインスピレーションを得たもので、ケース自体のデザインは、伝統的な角度を避け、伝統的なデザインの常識を打ち破ってダイナミズムを表現している。
セプト マイ ファウンダーズエディション
ポスト・アール・デコの時代から1960年代〜70年代にかけてのプロダクトデザインや、ポストモダンの建築からインスピレーションを得たファーストコレクション。全体的に伸びやかなラインを持つ流線型のデザインを採用し、文字盤は流線型のケースとは対照的に直線を取り入れたシンメトリーデザインを採用。ミニマリズムとは対照的に、立体的で繊細なディテールが施されており、時計愛好家も堪能できる洗練された製品に仕上がっている。
■Ref.TSM.101。SS(41mm径)。5気圧防水。手巻き(Cal.SW215-1)。1390米ドル(約15万1000円)
》代表作“セプト マイ”のディテールをチェック
ケースは、ポリッシュ仕上げのスチール製で傷がつきにくいコーティングが施されている。丸みを帯びたミドルケースとラグを備えたバックユニットの二つの部分から構成されている。ラグ付きバックユニットとメインケースの間に 0.15mmのスペースがあり、ケースサイズは41mm、厚さは10.5mmとなっている。1960年代のレトロなSF映画を彷彿とさせる未来的な雰囲気を醸し出しているのも魅力的だ。
アンティークのオメガ・ダイナミックのダイヤルを彷彿とさせる、モダンでありながらも未来的で、素晴らしい奥行き感がある文字盤デザインも魅力的だ。文字盤の仕上げはサーキュラーブラッシュ仕上げでブラッシュメタルを重ね、文字盤を12分割でカットアウト。ベースにはスーパールミノバで塗装されている。細部まで考え抜かれている文字盤の日付窓は、ベベル(斜面)形状の長方形で、文字盤のカットアウト形状とマッチしている。スケルトン針は視認性が高いだけではなく、文字盤デザインとの相性も抜群で全体的に上品な印象を与えている。
セリタの手巻きムーヴメント、Cal.SW215-1が搭載。 ガラスは両面ともにサファイアクリスタルを採用しており、シースルーバックからムーヴメントを鑑賞できる。
ニューカール#02
ファーストコレクションである“セプト マイ”に続く第2弾のコレクション“Neucarl#02”も現在製作中となっており、 スペックは公表されてないが、ウェブサイトで新コレクションのドラフトが公開されている。直線を生かした文字盤デザインとラウンドケースを特徴とした第一弾とは雰囲気が異なり、第二弾はオクタゴン(八角形)のケース、ケースとブレスレットを一体化させたシームレスなフォルムを採用している。
ここ最近の時計界のトレンドであるラグジュアリースポーツのテイストを感じさせるデザインだが、ブレスレットのフォルムをケースの形状をリンクさせたデザインや、ソリッドでありつつも角に適度な丸みを持たせたディテールなど、細部に独創的なアイディアを盛り込んでいるのが面白い。
時代を超越したクラシックなスタイルを求める人だけでなく、ジーンズやTシャツのカジュアルな服やドレスアップしたスーツにもマッチするデザインウォッチをお探しなら、ぜひチェックしておきたいモデルとなりそうだ。
■TI(40×48mmサイズ)。自動巻き。価格未定
》Neucarl(ニューカール)公式サイト
https://neucarl.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/