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【10万円台から20万円台で購入可能】名機搭載、実用アンティークウオッチのススメ

実用に耐える耐久性と精度を備えた機械を選ぶ

 少し頑張れば手の届く20万円台以下の価格帯で時計を購入する際に、ぜひ選択肢のひとつに加えておきたいのがアンティークウオッチ。より具体的に言うならば、時計愛好家から、名機として評価され、時代を超えて愛されているムーヴメントを搭載した時計である。

 年々価格が高騰しているアンティークウオッチであるが、実は価格が高騰しているのはクロノグラフや有名ブランドのペットネーム付きモデルなどのレアモデル。あまり知られていないが、アンティークウオッチとしては手に入れやすい20万円前後の価格帯でも、傑作と呼ばれるムーヴメントを搭載しているモデルは意外に多いのだ。

 手巻きであればオメガの30㎜キャリバーやロレックスの1200系、自動巻きならばIWCの30系やセイコーの61系を搭載したモデルなどがおすすめだ。これらのムーヴメントは、耐久性に優れかつ生産量が多いという共通点を備えている。

 耐久性は普段使いにおいて欠かせない要素であり、生産量が高いということは現存数が多いことを示す。結果的に相場が抑えられ、選択肢も多くなるというわけだ。故障などの際にもドナーパーツを探しやすいのもポイントといえるだろう。アンティークは敷居が高い印象もあるが、比較的手の出しやすい価格帯のため初めてのアンティークとしてもおすすめだ。


》名機其の1:Cal.85系搭載モデル

ペラトン自動巻き機構で抜群の耐久性を獲得
 設計者であるアルバート・ペラトンにちなんで“ペラトン自動巻き”とも呼ばれる自動巻きムーヴメントの名作。爪の左右運動が主ゼンマイを巻き上げるラチェット式の自動巻き機構、ローターをアームで宙づりにする構造を採用し、当時製造された自動巻きのなかでも群を抜いて高い耐久性と巻き上げ効率を実現した。

【Caliber List】
85/852/8521/853/8531/854/8541/854B/8541B

IWC(アイ・ダブリュー・シー)
ヨットクラブ
 ジェラルド・ジェンタがデザインを手がけた樽型ケースを採用した人気モデル、ヨットクラブ。アンティークならではの味わいとコンサバティブな雰囲気が同居したデザインが印象的だ。

■Ref.811。SS(36mm径)。自動巻き(Cal.8541B)。1970年代製。参考価格28万8000円


》名機其の2:Cal.30系搭載モデル

天文台コンクールを制した手巻きの傑作機
 天文台コンクールで数々の優勝を勝ち取った手巻きの最高傑作。ベースムーヴメントを直径30mmに拡大し、大型のテンプを備えるなど、高精度の実現を目指した設計が徹底されている。メンテナンス性にも優れた設計に加え、現在も流通量が豊富であるため、不具合が生じた際に修理部品を容易に入手できるのも魅力。

【Caliber List】
30 SC T1 / 30 SC T2 / 280 (30SC T2 PC AM) / 281 (30 SCT2 RG) / 283 (30 SC T3 PCAM) / 284 (30 SC T4 PC AM)/1 285 (30 SC T5 PC AM) / 286(30 SC TO PC AM)

OMEGA(オメガ)
ラウンド
 30mmキャリバーは約20年の製造期間のなかでマイナーチェンジを繰り返し、頑強な作りと精度の高さから、軍用時計からドレス系まで様々なモデルに搭載されている。この個体は1940年代製の3針モデル。細身のアラビアインデックスを外周に配したモダンなデザインが魅力的だ。

■SS(33mm径)。手巻き(Cal.30 SC T2)1950年代製。参考価格19万4000円


》名機其の3:Cal.61系搭載モデル

調整次第で現行品にも匹敵する精度を維持
 巻き上げ効率の高いセイコー独自の自動巻き機構マジックレバー、3万6000振動/時という超高振動を採用したグランドセイコーを代表する高精度自動巻きキャリバー。量産ムーヴメントをベースにしているため、国産機のなかでは部品が入手しやすく、なおかつ実用に耐える壊れにくい設計となっている点も魅力だ。

【Caliber List】
6145A/6146A/6155A/6156A/6185A/6185B/6186B

SEIKO(セイコー)
61GS
 アンティーク市場でも比較的安定した流通量があり、スタンダードなデザインのほか、1970年代のトレンドを取り入れたスペースエイジ風のデザインまで、バリエーションが豊富なのも特徴。この個体は、“座布団ケース”と呼ばれる丸みを帯びたスクエアケースが印象的な61グランドセイコーの異色モデル。

■SS(34mm径)。手巻き(Cal.6146)1970年代製。参考価格29万円

 

文◎船平卓馬(編集部)

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