レビュー記事 @kikuchiのいまどきの時計考

【実機レビュー】ほどよいサイズ感と古典的な意匠。レトロ感満載の“チューダー ブラックベイ フィフティエイト”

 チューダーについては2020年8月29日の記事において、注目作としてブルーカラー採用の新作“ブラックベイ フィフティエイト ネイビーブルー”を取り上げた。今回はそれのベースモデルである既存のブラックベイ フィフティエイトについて取り上げてみたい。

 このブラックベイ フィフティエイトは、2018年の新作としてリリースされた。その年はロレックスの通称ペプシベゼルこと、青赤ベゼルのGMTマスター II が発表され、それに合わせたかのようにチューダーからも同様のツートンベゼルのブラックベイGMTが新たに発表されたことで、話題の中心がGMTモデルに集中した。

 そのため発表当初こそ目立たなかったが、ベースとなるブラックベイよりも2mm小さくなった39mm径のケースを採用しており、この絶妙なサイズ感が好評を博したのだろう、じわじわと人気を集め、正規店で手に入りにくいこともあって、残念なことに現在では定価を超えるプレミアム価格となってしまった。

実際に着けてみるとご覧のとおり手首の幅にもちゃんと収まり、サイズ感はまさにピッタリである

 実のところ通常のブラックベイはケース径41mmと、いまでは数字的にそれほど大きいというレベルではないのだが、思いのほか厚みがあるため着けたときにより大きく感じる。これは2016年に自社製ムーヴメントが搭載されるようになってから厚さ約15mmとかなりぶ厚くなってしまったためだ。それに対してフィフティエイトは約12mmと、この3mmの差はケースサイズ以上に着けやすさという点での違いはかなり大きいと言える。

 もちろんサイズだけでなくデザインも悪くない。特に配色がいい。ロレックス・サブマリーナーの第2世代に見られる通称レッドトップを彷彿とさせるベゼルの三角マーカーに加えて、要所にあしらわれたゴールドカラーは、このフィフティエイトのみベゼル上の目盛りにも採用されるなど、レトロな雰囲気作りもなかなか凝っている。そのためリベットタイプのブレスレットもいいが、ヴィンテージ調の革ベルトタイプのほうが、どちらかというと古典的な雰囲気がさらに強まり魅力的に感じるのである。

Ref. M79030N-0002。SS(39mm径)。200m防水。自動巻き(Cal.MT5402)

 搭載する自社製ムーヴメントのキャリバーMT5402は、ミディアムサイズの腕時計用として新たに設計されたもの。小径ながら従来機同様に70時間のパワーリザーブ、COSCクロノメーター認定を取得する。

 さて気になる実勢価格だが、国内定価は革ベルトタイプで36万5200円(ブレスは39万9300円)と良心的。しかし、正規店では品薄で入手が難しいということから、並行市場では現在40〜45万円といったところだ。ちなみに41mmサイズのブラックベイは、革ベルトタイプの国内定価が37万6200円。それに対して並行輸入の実勢価格は32〜35万円と意外にもお買い得なのである。

写真◎笠井修

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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