》部品の起源、製造コストから販売マージンまで、情報をオンラインで公開!?
近年、クラウドファンディングを活用して資金を集めて創設した時計ブランドが数を増やしている。日本の時計界でもいくつかのブランドが本格展開を実現しているが、今回は、クラウドファンディングをこれまでにない形で活用して、時計王国スイスで誕生した注目のブランドを紹介する。残念ながら日本未上陸のブランドだが、これまでにないとても面白いコンセプトを実現している。
CODE41(コード41)は、クラウディオ・ダモーレが2016年に立ち上げたマイクロウオッチブランドだ。彼はタグ・ホイヤー、モンブランなどの有名ブランドで10年以上過ごしたのち、CODE41(コード41)をローンチした。
スイスのレマン湖の北岸に位置するローザンヌに拠点を置き、独自のクラウドファンディング・コミュニティを形成、運営しているのが特徴になっており、このコミュニティーメンバーは現在、30万人を超え、熱狂的な時計愛を持つ人々で構成されている。
時計愛を持つ人々は投資家として、コード41が立ち上げる時計プロジェクトに直接投資しており、このコミュニティーのサポートの結果、数々の時計プロジェクトを成功させると同時に高品質でユニークなデザインの時計を適正価格で提供することに成功している。
CODE41(コード41)のポリシーを象徴するのが“透明性”だ。部品の起源、製造コストから販売価格、販売マージンなどの情報をオンラインでオープンにしており、ユーザーは製造工程の段階で質問や意見を述べたり、CODE41(コード41)のチームメンバーと交流したりすることも可能になっているのだ。
CODE41(コード41)の時計には、部品や製造工程がどこで行われたかを示す“Total Trans-parency on Origin:TTO ”が製品に刻印されている。
“スイス製”、“ドイツ製”、“日本製”など、製造国ごとにそれぞれ規定が存在しているが、その実態は複雑でわかりにくい。スイス製を称する時計が容易に入手可能である状況を踏まえてCODE41(コード41)は活動しており、時計製造のすべての段階でユーザーとの透明性を確保するというブランドのコミットメントを証明しているというわけだ。
お金の使い方に対しての差別化が進んでおり、消費者は高デザイン性で高品質な製品をブランドに求めるだけでなく、自身の投資先ブランドが自社の製品がどこでどのような製造流通されているか情報の透明性を求めていく傾向は強くなるのではないかと考えられる。
アノマリー 01 フォージドカーボン
文字盤の半分を大胆にカットしたスケルトンデザインが印象的な定番コレクション。4層構造からなる文字盤には11時位置にブランドロゴを配置。 1970年代のデザインからインスピレーションを受けたケースは、ケースの各部に異なる仕上げが施されている。
■SS(43mm径)。5気圧防水。自動巻き(Miyota 82S7)。1525米ドル(約16万円)
アノマリー 02 スティール、シルバーダイヤル
汎用ムーヴメントのETA2824-2を搭載したエントリーモデル。3針、デイト表示のベーシックなモデルだが、アイコニックなクッションケースと、立体的な文字盤の装飾がCODE41(コード41)のスタイルをしっかりと主張してくれる。エントリーモデルらしく、手に入れやすい価格も魅力となっている。
■SS(434mm径)。5気圧防水。自動巻き(ETA 2824-2)。858米ドル(約9万円)
NB24 - チタンブラック・NB24 - チタンブルー
9カ月間、コニュニティとの対話を重ねて発売を開始したモデル。 NB24の“NB”とは、2021年6月に開催されるル・マン24時間レースに参加するコード41のブランドアンバサダーで下半身不随のレーシングドライバー、ナイジェル・ベイリー氏のイニシャルに由来している。この時計の予定納期は2021年11月~12月で、 グレード5のチタンとカーボンの2種類があり、8種類のスタイルからの選択が可能だ。
■SS(42mm径)。10気圧防水。自動巻き(NB24 cam-driven manufacture chronograp)。各500本限定。3480米ドル〜(約37万円〜)
NB24クロノグラフに搭載されているコード41独自の機械式ムーヴメントは、7750ムーブメントの構造を参考にしつつ、コンセプト社と共同で開発され設計、製造されており、組立は全てスイスで行われている。
ムーヴメントは、文字盤側に組み込まれたペリフェラルウェイトを持ち、手作業で仕上げと組立が行われ、1日平均±5秒の間で動作するように、5つの異なるポジションでテスト調整されている。48時間のパワーリザーブ、ハッキング機能、1時間あたり28,800振動の動作周波数を備え、ムーヴメントは全部で326個のパーツで構成されている。
CODE41(コード41)が時計に導入した完全な透明性のポリシーは、時計業界での役割に応じ、ポジティブにもネガティブにも捉えられるものになるのであろうが、このビジネスモデルは消費者と投資家を惹きつけることに成功している。日本未上陸のブランドながら、その動向と今後のコレクションに期待したい次世代の時計ブランドといえるだろう。
》CODE41(コード41)公式サイト
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
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