女性編集者がレディースウオッチの新作を実際に見て、感想を交えて紹介する本企画。今回はJAQUET DROZ(ジャケ・ドロー)のグラン・セコンド カンティエームの9種類の新作のなかから、深みのあるバーガンディーカラーのモデルに注目しました。
【モデル紹介】
グラン・セコンド カンティエームは、1784年に創業者のピエール_ジャケ・ドローが作り上げた懐中時計に着想を得て、2011年に誕生したジャケ・ドローを代表するコレクション。
その最大の特徴は、二つのインダイアルをアラビア数字の“8”の字形に組み合わせたデザインです。上部で時間と分を、下部では秒と先端が赤く彩られた針で日付けを表示しています。モデル名の“グラン・セコンド”の通り、秒針が搭載された下部のインダイアルのほうをより大きくデザインしているのも特徴です。
そんなグラン・セコンド カンティエームに2020年、新ケース径41mmで、18金レッドゴールドケースを備えた4本と、ステンレススチールケースを採用した5本の合計9モデルもの新作が加わりました(2020年5月に本サイトで紹介したニュース記事はこちら)。そのなかでも、筆者が密かに気になっていたのが、18金レッドゴールドケースにバーガンディーエナメルの文字盤を組み合わせたモデル。今回実機を取材することができたので、早速紹介していこうと思います。
・新作モデルと旧モデルの違いはなに?
旧モデルより変更が加えられた点はいくつかありますが、まず触れたいのがケースサイズ。これまで39mm径そして43mm径のモデルが登場していましたが、新たに発表されたのはその中間に位置する41mm径のモデル。男性はもちろん、大きなサイズを好む女性にも着用できるユニセックスモデルです。
下に、左から43mm径、新作の41mm径、そして39mm径を並べて配置した画像を添付してみました。サイズが異なるだけでなく、デザインにも若干の違いが見えます。例えば、43mm径モデルと41mm径モデルを比較すると、二つのインダイアルの重なり具合が若干異なっているのがわかるでしょうか。43mm径モデルのほうが、二つのインダイアルがより交差するように重ねられています。
特筆しておきたいのが、今回単にケースサイズを変えたのではなく、ほぼすべての部品が再設計されていること。43mm径と39mm径モデルよりも約1mm薄いサイズを実現しています。
加えて、6時位置のインダイアルのリングに、18金レッドゴールドを採用しているのもポイントです。これにより、見た目にインパクトを与えるだけでなく、視認性を高める効果をもたらしています。ちなみにこのデザインは、グラン・セコンドのムーンフェイズに用いられ、今回グラン・セコンド カンティエームシリーズで初めて採用された仕様とのことです。
最後に触れたいのが、ムーヴメントについて。ムーヴメントには、過去のモデルにも採用されてきたCal.Jaquet Droz 2660Q2が搭載されていますが、これまでと違うのは、ローターにオープンワークを採用したこと。視界をさえぎる部分が少なくなったため、美しいムーヴメントの仕上げをより楽しめるようになりました。
さらに新しく採用されたのは、ドーム型に成形されたシースルーバック仕様の裏ブタです。綺麗に光が入り、機構が良く見えるよう緻密に設計されているため、平面に加工されたモデルよりも、扇状に施されたコート・ド・ジュネーブ装飾をより鮮明に見ることができました。
ちなみにローターには“創業者親子”を表現する二つの星のモチーフが、地板には創業者のシークレット・サインである“三つ葉のクローバー”が刻印されているのもポイントです。
【装着感は?】
41mmと聞くと、女性が着けるにはかなり大きい印象がありますが、着用してみると想像していたよりも手首によくなじんでくれました。
薄型化されたケースや、文字盤の色味とベルトのカラーを合わせたことにより、実寸のサイズよりも小振りに見えるのでしょう。
またケース裏に施されていたのは、腕に接触する面積を少なくする工夫。裏ブタが外周から中央に向かってドーム形に加工が施されており、腕に当たるのは実際の裏ブタよりも小さい面積になるため、着け心地は良好でした。
【推しのポイント】
ブランド初採用! バーガンディーカラーの文字盤
これまでのモデルと同様、本作の文字盤は、ジャケ・ドロー特有の“高温焼成エナメル技法”を採用。エナメルパウダーを付けては焼き、付けては焼きと何度も繰り返すことで、深みのあるカラーを生み出しています。
納得のいく色味に仕上がらない限り、焼き上げた文字盤を捨ててしまうことも多いのだとか。深みのある色合いは、こうした度重なる工程と、こだわりにより生み出されているのです。また、上品なツヤを見せる文字盤も印象的でした。キラキラとした派手な輝きではありませんが、大人が持つにふさわしい、工芸品のように美しい1本です。
* スペック
文◎佐波優紀(編集部)
【問い合わせ先】
ジャケ・ドロー 公式サイト
https://www.jaquet-droz.com/ja
ジャケ・ドロー ブティック銀座
03-6254-7288