伝統的なドイツ軍用時計のDNAを受け継ぐ実用モデルを軸に、多様なラインナップを展開するチュチマ・グラスヒュッテ。
同社が2020年に投入した新作で、そのラインナップはより多彩でデザインに富んだものとなった。
具体的には19年から採用され、好評を博しているカラーグラデーション文字盤を、“M2”や“フリーガー”といった人気シリーズへ次々と投入したのである。
なかでも筆者が気になった“グランドフリーガー・エアポート・クロノグラフ”と“M2クロノグラフ”の2モデルを紹介したい。
Close Up 01
グランドフリーガー・エアポート・クロノグラフ
■Ref.6406-02。SS(43mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.310)。49万5000円
まずはグランドフリーガー・エアポート・クロノグラフから紹介しよう。
本作で特筆は、現代的なデザインとなった既存のエアポートに、鮮やかなブルーグラデーション(グリーン仕様もあり)を組み合わせたことで、本格的なスペックを備えつつも、ファッションとしても楽しめる仕上がりとなっている点だ。
またそのブルーの色味も決して派手すぎず、カッコいい。
単色のブルーカラーではポップになりすぎてしまうところ、本作では外周部分を黒になじませることで実用時計らしい硬派な雰囲気をプラスしているのだ。そのためビジネスからカジュアルファッションまで幅広いコーディネイトに合うだろう。
さらに、新たにセラミック製ベゼルを採用し、耐傷性も向上。優れた実用性とファッション性を融合した1本だ。
Close Up 02
M2クロノグラフ
■Ref.6450-04。TI(46mm径)。30気圧防水。自動巻き(Cal.521)。59万1800円
もうひとつのM2クロノグラフは、チュチマがかつて手がけた伝説的な軍用時計の後継機であり、そのDNAを色濃く受け継いだモデルの最新形だ。
こちらも新たにグラデーションカラーの文字盤が採用されているのだが、注目すべきはほかにもある。
従来モデルでは、12時位置にあった24時間表示と9時位置のスモールセコンドを、あえて廃してデザインとコストの両面でスリム化を図った意欲作でもあるのだ。
文字盤がすっきりとしたことで視認性を高めたことはもちろん、オレンジの差し色を用いることで、いい感じにレトロ感も演出されている。
1970年代のヴィンテージモデルを彷彿とさせる仕上がりだ。
古豪ブランドとしてのアイデンティティーを保ちつつも、新境地を感じさせる魅力的な新作が揃うチュチマ・グラスヒュッテから目が離せない。
まだある。注目のグラデーション文字盤モデル
M2コーストライン
1984年にチュチマが開発したNATOクロノグラフのDNAを継承するM2コレクションのなかでも、現代的なカラーを取り入れるなどしてカジュアル感を強調したのがコーストラインだ。
2020年はその新色として3針モデルにモスグリーン仕様が追加された。
■Ref.6150-08。TI(43mm径)。30気圧防水。自動巻き(Cal.330)。25万800円
(左)フリーガー スカイ
(右)フリーガー
伝統的な軍用時計の名を冠するフリーガー スカイとフリーガーにも新色が追加されている。
新たに登場したのは、前者が1970年代に見られたライトグレーグラデーション仕様で、後者はグレーグラデーション仕様だ。またフリーガーには、アメリカの老舗タンナーとして知られるホーウィン社製の革ベルトが装着される。
■(左)Ref.6105-20。SS(41mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.330)。20万9000円 (右)Ref.6105-31。SS(41mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.330)。20万3500円
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文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修