ドイツ時計 レビュー記事 @kikuchiのいまどきの時計考

【2020新作実機レビュー】涼しげでクラシカル!季節の装いにシックに決まるグラスヒュッテ・オリジナルの最新作

 ドイツの高級腕時計ブランド“グラスヒュッテ・オリジナル”。今回筆者が注目したのは、文字盤メーカーを傘下にもつ同社だからこそできる、美しくとても印象的なカラー文字盤を備えたスペシャルモデル、シックスティーズ・アニュアルエディションの2020年新作だ。

 2018年のレトログリーン、19年のファイアリーオレンジに続く第3弾。20年新色として与えられたカラーは、壮麗な高山の風景や雄大な氷河からインスピレーションを得て考案されたグレイシャーブルーという色だ。実機が日本に到着したということで、早速赴き、着けさせていただいたというわけである。

 ちょっとここで、この美しい文字盤がどのように作られているのかを触れておきたい。

Ref.1-39-52-14-02-04。SS(39mm径、9.4mm厚)。3気圧防水。自動巻き(Cal.39-52/40時間パワーリザーブ)。2020年限定。84万7000円

 まず文字盤の地金板に繊細なサンレイ仕上げを施した後、ドーム型にプレス加工を施し、ガルバニックニッケルコーティングする。次にきれいなグラデーション効果を得るために、ダークブルーのラッカーを塗布し、続いて、文字盤の表面全体をグレイシャーブルーのラッカーをコーティングする。

 それを窯で加熱し、焼き付けることで色味を仕上げるわけだ。そして最後に、インデックスを刻み、数字をプリント加工し、各アワーマーカーにスーパールミノバを塗布して完成する。

 つまり、これだけの手間暇かけて作られることによって、このなんとも言えない微妙な色合いが再現できると言えるのである。

 これらはドイツ南部のフォルツハイムにある同社傘下の文字盤専門工場ですべて作られる。文字盤の作りとデザインは時計の印象を決定づける重要な部分でもあるため、それを自社内にもちすべてにおいてクオリティコントロールできるということは、ほかの時計メーカーにはない、グラスヒュッテ・オリジナルの大きなアドバンテージとなっているのだ。

 そして今回、筆者が実際に実機を着けてみて思ったのは、、月並みな言葉で恐縮だが第一印象は“シックでオシャレ”そのものといった感じ。もともと、このベースとなっているシックスティーズ自体、その名前のとおり、同社が製造してきた時計のアーカイブより1960年代に作られた傑作をデザインそのままにリバイバルされたものだ。その古典的な意匠と今回の新色が絶妙にマッチしているうえ、流行りのブルー文字盤とはまったく違い、深みがあってなかなか上品なのである。

 標準装備されているヴィンテージ調の革ベルトもいい味出しているが、リザード(トカゲ)の革ベルトを合わせてもクラシカルなドレスウオッチの雰囲気が出ていいのではないかと感じた。ケースサイズは39mm径で厚さは9.1mmと、この程よいサイズ感も大きな魅力と言えるだろう。

クロノグラフ。Ref.1-39-34-04-22-04。SS(42mm径、12.4mm厚)。3気圧防水。自動巻き(Cal.39-34/40時間パワーリザーブ)。2020年限定。103万4000円

 今回、アニュアルエディションとしては初めて同色のクロノグラフモデルも登場している。ちなみにこのアニュアルエディションは、グラスヒュッテ・オリジナル ブティックと選ばれた正規販売店で、しかも限られた期間のみ購入することができると言う。入荷自体は6月中を予定しているとのことだ。

協力◎グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 TEL.03-6254-7266

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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