今も昔も文字盤の定番カラーといえばホワイトですが、現在、様々なカラーを選べるようになってきました。なかでも知的で爽やかな印象をもたらすブルーは、腕時計において新たな定番カラーとして人気となっています。
ひと言で“ブルー”といっても、色合いによっては爽やかな色味からシックな雰囲気のものまで様々。また、似たような色味であっても、文字盤の加工によって印象が変わることもあります。例えば、今回取り上げたエルメスのメドール ロックとショーメのオルタンシアの文字盤には同じラッカー加工が施されていますが、メドール ロックがマットな質感であるのに対し、オルタンシアは放射状に光が反射するサンレイ仕上げが採用されるなど、印象もがらりと変わっています。
様々な色合いのブルーは見ているだけでも楽しいものです。色の濃淡だけでなく、文字盤の加工の違いも含めて、ぜひ自分好みのブルーを見つけてはいかがでしょうか。では早速、筆者が心引かれたブルー文字盤3モデルを紹介していきます。
Tiffany & Co. ティファニー
アトラス 2-ハンド 24mm ウォッチ
ブルーといえば女性の憧れ“ティファニーブルー”
ラウンドケースに大きく配されたローマンインデックスが特徴的なアトラスがモチーフとしているのは、創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーが当時、ブロードウェイ550番地に構えていた旗艦店に設置していた公共時計“アトラスクロック”。ラウンドケースにローマンインデックスを採用した当時のデザインを受け継ぎながら、文字盤とインデックス位置に段差をつけるなど、モダンなアレンジが加わっています。
また、ティファニーといえば、ダイヤモンドの純度における厳しい自社の基準がアメリカの国としての基準に採用されたことからもわかるように、ダイヤモンドの質には強いこだわりをもっています。ベゼルとインデックスに配された合計0.28カラットものダイヤモンドは、自社工房のカットおよび研磨の専門職人により仕上げられています。
【SPEC】
Ref.63320781。SS(24mm径)。3気圧防水。クォーツ。58万3000円(税込)
【Recommend Point】
注目ポイントはなんといっても、ティファニーのアイコンともいえるカラー“ティファニーブルー”。引き込まれるような美しさを持つこの色に、憧れをもつ女性は筆者だけではないはず。
この美しい色をより魅力的に見せているのが、文字盤の加工技術のひとつ“アズラージュ仕上げ”です。ヤスリにより狭い間隔で幾重もの線を付けるこのアズラージュ仕上げを施すことで、見る角度により上品な光の変化を生み出し、洗練された魅力をプラスしています。
ティファニーブルーと上質なダイヤモンド、女性の憧れ二つが備わったオススメの1本です。
【問い合わせ先】
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
TEL:0120-488-712
ティファニー公式サイト
https://www.tiffany.co.jp
HERMÈS エルメス
メドール ロック
マットな質感の深みのあるブルーが魅力
スクエアケースに文字盤を保護する蓋を用いた独特なケースデザインをしている“メドール”。猟犬の首輪に用いられていたピラミッド型の鋲(びょう)をモチーフにしたレザーベルト“コリエ・ド・シアン”からインスピレーションを得て、1993年に誕生したコレクションです。
この文字盤を覆うカバーは、リューズの先端に取り付けられたボタンを押すことで、ワンタッチで開くことができます。普段はカバーを被せた状態で、時刻を確認したいときだけカバーを開けて使用します。
エッジの効いたピラミッド型のデザインを強調させるかのように、対角線上にステンレスの線がデザインされ、スタイリッシュな美しさを楽しめます。
また、インデックスにもカバーと同じデザインの、ピラミッド型のスタッズが採用されているのも見どころです。
【SPEC】
Ref.046339WW。SS(16×16mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。45万5100円(税込)
【Recommend Point】
独特なケースのデザインも魅力ですが、今回注目したいのは深みのある艶感が楽しめる“ラッカー仕上げ”を施した文字盤。次に紹介するショーメのオルタンシアとは同じラッカー仕上げながら異なる、マットで深みのある質感に仕上げられています。
また、文字盤の色味とレザーベルトが同色であるため、ベルトからケースまで統一感を演出。小振りなサイズ感も相まって、文字盤のカバーを被せると、まるでブレスレットのような見た目になります。“メドール ロック”は3重巻きのトリプルトゥールを採用して、ファション性を高めているポイントです。
アクセサリーとしてのデザイン性と機能性の両方を兼ね備えたモデルは、大人の女性のカジュアルファッションにぴったりです。
【問い合わせ先】
エルメスジャポン
TEL:03-3569-3300
エルメス公式サイト
www.hermes.com
CHAUMET ショーメ
「オルタンシア」コレクション エデン ウォッチ
光の当たり具合で、ブルーの濃淡が楽しめる
ベゼルにアジサイのモチーフを配した“オルタンシア”は、豊富なカラーバリエーションが展開される日本でも人気が高いコレクションです。もともとはショーメの顧客であったナポレオン1世の妻、皇后ジョゼフィーヌがアジサイの花を愛したことから、このモチーフが採用されました。アジサイの花のデザインを引き立てるように、インデックスは12時位置のひと粒のダイヤモンドのみ。リューズもラグも取り去ったシンプルなケースデザインが特徴です。
ベゼルにぎっしりと連なるように配されたダイヤモンドは、自社の工房の職人が高度な技術により仕上げたもの。世界的ジュエラーであるショーメの高い加工技術がつまっています。
【SPEC】
Ref.W20611-20C。SS×ダイヤモンド(21.5mm径)。30m防水。クォーツ。59万7300円(税込)
【Recommend Point】
鮮やかで上品なまるでロイヤルブルーを思わせる色味は、つい見とれてしまうほど美しい色合いです。
そんなブルーカラーの文字盤に施されたのは、幾重にも薄く塗料を吹きかける“ラッカー仕上げ”。光の当たり具合で文字盤が放射状に反射し、深みのあるブルー文字盤に繊細な濃淡を生み出しています。文字盤のデザインがシンプルなので、思う存分ブルーの色味を目で楽しむことができるのも特徴です。
日本各地でそろそろ梅雨を迎え、アジサイの花が咲き始める頃ですね。季節を問わず人気のあるオルタンシアコレクションですが、今の季節が一番、よりオルタンシアを楽しめる最適な時期といえるでしょう。季節の花に合わせて時計を選ぶというのも、粋でとても素敵だと思います。
【問い合わせ先】
ショーメ
TEL:03-5635-7057
ショーメ 公式サイト
https://www.chaumet.com/jp
文◎佐波優紀(編集部)