時間を知るツールである腕時計は、その機能性により仕事におけるマストアイテムとして、多くのビジネスパーソンから愛用されています。
しかしそうした機能面だけでなく、文字盤やベルトのデザイン、ケースの形など、様々な意匠を目で楽しめるのも腕時計の魅力。特にレディースモデルには、ダイヤモンドなどの貴石をあしらったものや、パールを作る母貝“マザー・オブ・パール”を採用したものなど、まるでアクセサリーのような美しいデザインが盛り込まれたものも多く存在します。
なかでもレディース時計ならではのデザインといえるのが、可愛らしい“動き”の仕掛けが盛り込まれたデザイン。耳元や首元で貴石が軽やかに揺れるピアスやネックレスのように、ケース内のダイヤモンドが揺れ動くなど可憐なその“動き”を目で楽しむことができます。
今回は文字盤、針、そして機構の三つのポイントとから注目のモデルを紹介。メンズ時計とはひと味違う、レディース時計の美しいデザインを、目で見て楽しんでもらえるとうれしいです。それでは早速紹介していきましょう。
CHOPARD ショパール
ハッピーダイヤモンド アイコン
・文字盤の周りでダイヤモンドが揺れ動く
まず紹介するのは、文字盤周囲でダイヤモンドが揺れ動くショパールの代表的レディースコレクション“ハッピーダイヤモンド”。文字盤外周部をなぞるように動く“ムービングダイヤモンド”の意匠は、2枚の透明なサファイアクリスタルの間にダイヤモンドを配置することで実現しています。
もともと太陽の光を反射して輝く滝の水しぶきからインスピレーションを受けたこの“ムービングダイヤモンド”。ダイヤモンドをあえてセッティングせず、動きをつけることで、セッティングされた時とは異なる輝きを楽しめます。まさに、手首に着用する時計の特質を最大限に生かしたデザインだといえます。
【SPEC】
Ref. 203957-1214。K18WG×ダイヤモンド(25.8mm径)。非防水。クォーツ。195万8000円(税込)
【Recommend Point】
オススメポイントはなんといってもムービングダイヤモンドですが、さらに注目したいのがムービングダイヤモンドの軌道となる文字盤外周部を、クリスタル仕様にしているところ。まるで肌の上を滑るように動くダイヤモンドが、手首を上品に演出してくれます。
今回紹介したハッピーダイヤモンドはほかにも、ムービングストーンがハート形にかたどられたものや、文字盤全体の上を自由に揺れ動く仕様のモデルなど、可愛らしいラインナップが豊富なので、あわせて注目してはいかがでしょうか。
【問い合わせ先】
ショパール ジャパン プレス
03-5524-8922
ショパール 公式サイト
https://www.chopard.jp/
Girard-Perregaux ジラール・ペルゴ
キャッツアイ プラム ブロッサム
・ プラムの花の秒針がくるくると回る
次に紹介するのが、秒針の動きが可愛らしいモデル。ジラール・ペルゴのレディースコレクション“キャッツアイ”は、その名の通り猫の目のようなオーバルケースを用いた人気シリーズです。
そのなかでも今回取り上げるキャッツアイ プラム ブロッサムで注目したいのが、9時位置に配されたプラムの花です。一見単なる花のモチーフにも見えるこの意匠。実はこれ、スモールセコンド(秒針)なのです。
花の位置はそのままに、花びらが360°回転する様子はとても可憐。オーバルケースモデルに搭載されたスモールセコンドを、花のモチーフに変えた発想が素敵です。
【SPEC】
Ref.80484D11A701-HK7A。SS(30.4×35.4mmサイズ)。30m防水。自動巻き(Cal.P03300-150)。180万4000円(税込)
【Recommend Point】
このプラムの花、大変な手間をかけて作られたもの。立体的に成形された花に、毛先が1本や2本程度しかない筆でリアルな花びらを描く“ミニチュアペインティング”という技法を採用し、小さな花の一枚一枚に丁寧に色付けをしています。そうした細かい手作業を経ているからこそ、スモールセコンドの動きに合わせてゆっくりと回転する花が生き生きとして見えるのですね。
【問い合わせ先】
ソーウィンド ジャパン
03-5211-1791
ジラール・ペルゴ 公式サイト
https://www.girard-perregaux.com/ja
DIOR ディオール
ディオール グランバル プリュム
・ 文字盤の上をくるりと回るローター
最後に紹介するのが、自動巻き時計には欠かせない部品である“ローター”に、美しい装飾を施したモデルです。
時計の動力となるゼンマイを巻き上げるために、多くの時計に採用されているこのローター。一般的には時計の裏ブタ側に配置されることが多いなか、あえて文字盤側に配置した独自開発のムーヴメントを採用しています。
ディオールのルーツであるオートクチュールになぞらえて、ドレスのように美しく仕上げられたローター施されたのはブルーの濃淡が楽しめるフェザー。厳選されたカケスの羽を手作業でカットし、25本を3日間かけてセットするという繊細な作業を経て、このように綺麗な装飾になるのです。
【SPEC】
Ref.CD 153B2X 1003。PG×SS(36mm径)。50m防水。自動巻き(Cal. Dior Inversé 11 1/2)。世界限定88本。390万1700円(税込)※2020年5月時点での価格
【Recommend Point】
この斬新なアイデアが生み出された理由を知ると、さらにグランバルの魅力が伝わると思うので紹介します。コレクション名のgrand bal(グランバル)の“バル”とは“舞踏会”を表すフランス語。つまりグランバルとは大舞踏会という意味になります。女性がイブニングドレスをなびかせながら踊る様子を、ローターの動きを生かして表現した、オートクチュールブランドならではの発想力で生み出されたグランバル。その発想の原点が舞踏会というのが、また乙女心をくすぐられます。
【問い合わせ先】
クリスチャン ディオール
TEL:0120-02-1947
ディオール 公式サイト
https://www.dior.com/ja_jp
文◎佐波優紀(編集部)