ダウンサイジングの潮流はベーシックな3針モデルだけでなく、スポーツモデルにも波及し、従来よりも小振りなモデルが数を増やしている。今回は、これからの季節におすすめしたい、40mm以下のスポーツモデルを紹介していく。
優れた装着感と存在感を両立させる小顔スポーツ
時計界では数年前まで、42㎜前後の比較的大きなケースサイズが標準的だったが、その反動もあってか、最近になってケースの小型化が進行しており、ベーシックな3針時計で38㎜前後という小振りなモデルを見かけることが多くなった。この小型化の流れはスポーツウオッチにも波及。40㎜径を切るスポーツウオッチがラインナップを増やしている。
ちなみにベーシックな3針モデルへの波及とスポーツウオッチへの波及には、なぜ時間差があったかというと、優れた耐久性や防水性などが求められるスポーツウオッチの場合、小型化がそれほど容易なことではないからである。例えば、ダイバーズウオッチの場合、防水構造自体を見直さなければならないなどクリアすべき壁は多く、いまだ40㎜オーバーのモデルが過半数を占めている。
腕時計の黄金期とされる1950年代、当時の多くのモデルが38㎜アンダーだったことが示しているように、着け心地やバランスを考えると、小振りな時計が本来の主流。もちろん人によってジャストなサイズ感は異なるが、手首が細い日本人にはこのほうが手首にしっくりとなじむ人は多いはず。また、スポーツウオッチならば適度に存在感があり、それほど見た目にも小さくは感じないため、ぜひともお試しいただきたい。
》編集部のおすすめモデル-其の1
YEMA(イエマ)
スーパーマンブルー ヘリテージ
1960年代にダイバーズウオッチで名を馳せたフランスを代表する本格時計ブランド。一時休眠していたが、2005年に復活を遂げ、現在は往年のモデルを復刻したコレクションを展開しコアなファンを獲得している。このモデルは1970年代にフランス空軍のパイロットに採用された実績をもつヘリテージモデル“スーパーマン”にオマージュを捧げた新作ダイバーズウオッチ。“イエマ”のダイバーズウォッチのDNAであるベゼルロック機構、シャベル形秒針、フレームのない夜光インデックスなど往年の機構やデザインが継承されている。
■Ref.YSUP2018B-GMS。SS(39mm径)。300m防水。自動巻き(Cal.ETA2824-2)。19万2500円
1960年代に製作され、現在まで継承されるイエマ独自のベゼルロック機構を継承。両方向回転ベゼルを特殊なパーツとネジ込み式リューズで固定する。
【問い合わせ先】
イエマジャパン(TEL.03-5875-8810)
https://jp.yema.com
》編集部のおすすめモデル-其の2
Lip(リップ)
ノーティックスキー
1867年の創業から150以上の歴史をもつフレンチウオッチの老舗ブランド“LIP(リップ)”。ノーティックスキーは、1968年にフランスのグルノーブルで開催された冬季オリンピックに合わせて発売された歴史的なダイバーズウオッチの復刻モデルだ。インナーベゼルを備えたレトロ感満載のデザインに加えて、本格スペックを備えており、パーツに関しても耐傷性の高いサファイアクリスタル風防を採用。ムーヴメントをパーツで仕入れ、フランス国内でアッセンブル、するなど、品質面にもこだわりが光る。
■Ref.LP671504。SS(38mm径)。20気圧防水。自動巻き(MIYOTA製)。8万1400円
200m防水の本格ダイバーズウオッチでありながら、ケース径は38mmと絶妙なサイズ感に留められている。レトロな顔つきと小振りなサイジングのコンビネーションが魅力的。もちろん装着感も良好だ。
【問い合わせ先】
DSKHジャパン(TEL.03-5441-4515)
https://www.lipwatch.jp
》編集部のおすすめモデル-其の3
ROTARY(ロータリー)
レガシーダイバー36mm
英国のクラシックスタイルを踏襲したデザインと抜群のコストパフォーマンスの高さが魅力の英国時計“ROTARY(ロータリー)”からリリースされている小顔スポーツウオッチ。自動巻きムーヴメントを搭載したスポーツモデルのサイズは、40mmオーバーが一般的のなか、36mmという小振りなサイズを実現している。さらにメカ好きにたまらないシースルーバック仕様でありながら、しっかり100m防水を確保しているのも魅力だ。
■SS(36㎜径)。100m防水。自動巻き(Cal.セリタ200)。13万7500円
現行のスポーツモデルではかなり珍しい36mmのケースがこのモデルのいちばんの特徴。手首の内側にしっくりと納まるバランスの良さに加えて、快適な装着感に仕上げられているのも魅力といえるだろう。
【問い合わせ先】
太安堂本店(TEL.046-822-1200)
http://www.taiando.com/ROTARY/ROTARY_LEGACY.html
文◎船平卓馬(編集部)