4月25日、オンラインで新作を発表するという新たなスタイルを採った“Watches & Wonders 2020”。ここではエルメスの新作を紹介します。
1837年に高級馬具工房として創業したエルメス。バッグや財布などのレザー製品や“カレ(スカーフ)”といったファッション小物から時計まで、これまで世界中の女性から愛される製品を手掛けてきました。
実は1920年代に時計を発売するなど時計製造の歴史も長いエルメス。今回のレディースモデルの新作は、メゾンを代表する人気2コレクション、“ケープコッド”と“ナンタケット”から発表されました。
どちらもエルメスが誇る往年の人気ブレスレット“シェーヌ・ダンクル”のデザインからインスピレーションを得たコレクションで、ケースの上下にシェーヌ・ダンクルを半分に割ったコマが装飾されているのが特徴です。
これまでのモデルをベースに、それぞれ美しく魅力的な意匠が取り入れられた2モデル。早速ひとつずつ見ていきましょう。
ケープコッド マルトレ
1991年、正方形の時計をつくることになっていたデザイナーのアンリ・ドリニーが、当初の予定とは異なる“長方形に正方形を重ねた”デザインの“ケープコッド”を完成させました。
常に進化を続けるタイムレスでアイコニックな時計、“ケープコッド”。今回の新作は、“ハンマリング”という、ジュエリー職人の伝統的な技法を引用し、絶妙なバランスをもつ新しいフォルムを採用しています。
複雑かつ精緻なこの“ハンマリング”技法は、ステンレススチール製ケースの印象を際立たせています。
同じく“ハンマリング”技法で成形された文字盤は、半透明のラッカーが薄く塗られ、アントラシト色からブラックへと美しいグラデーションを織りなしています。
手仕事により施された隆起が、ケースや文字盤に表情を生み、思いもよらない姿のモデルへと昇華した本作。
そんな、このクリエイティブなデザインを引き立てるように組み合わせられたのが、控えめな黒のレザーベルトです。シングルトゥール(1重巻き)とドゥブルトゥール(2重巻き)の2種類が用意されています。
“ナンタケット”ジュテ・ドゥ・シェーヌ・ダンクル
“ケープコッド”とともに、正方形の時計を構想していたアンリ・ドリニーのデザインから同じく1991年に誕生した“ナンタケット”。
アンリ・ドリニーの自由な発想はちょっと違った方向に進み、まず“長方形に正方形を重ねた”デザインを構想した後、“長方形に長方形を重ねた”デザインを考案しました。
それぞれアンリ・ドリニー独自の流儀で精緻かつ独創的な発想を駆使し、鎖のコマを半分に切りケースに沿えることで“シェーヌ・ダンクル”のフォルムを浮かびあがらせたのです。
“ナンタケット”は、“ケープコッド”よりもひと回り小振りのすらりとしたシルエット。軽やかかつフェミニンな魅力を帯び、エレガントな雰囲気のある、日常に寄り添う時計です。
そんな“ナンタケット”の新作は、自社の時計製造部門であるエルメス・オルロジェ社の工房で制作されたステンレススチール製の長方形のケースがアイコニックな“シェーヌ・ダンクル”をまとい、文字盤の上に鎖のモチーフを描くようにセッティングされたダイヤモンドが、華やかに輝きます。
この女性らしいシルエットを備えたTPMサイズ(一番小さいサイズ)の時計は、カラフルに輝くカーフまたはアリゲーターのレザーベルトと組み合わせて楽しむことができます。
文◎佐波優紀(編集部)
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