“予期せぬ出会い”をテーマに新作コレクションを発表。
いっそう洗練された姿でパシャ ドゥ カルティエが復活!
これまでも、出合うはずのないフォルムとアイデアを結び付け、独自のスタイルを構築してきたカルティエ。2020年はメゾンの伝統でもある“予期せぬ出会い”をテーマにした新作ウオッチコレクションを発表。2020年の新作として五つのウオッチコレクションが発表されたが、そのすべてにおいて“予期せぬ出合い”という視点に焦点が当てられている。
例えば、パシャ ドゥ カルティエ。円形の文字盤中央に、フィリグラン(線条装飾)のレイルウェイミニッツトラックが正方形を描く、円の中の正方形というデザインをもつパシャ ドゥ カルティエでは、ラウンドとスクエアというフォルムの予期せぬ出合いが表現されている。
“フォルムと機能の出会い”としては、クラシカルジュエリーのチェーンブレスのクラシックなデザインコードをもとに現代的な解釈を与えたジュエリーウオッチコレクション、マイヨン ドゥ カルティエが登場。
そして、“正確さとずれが出合う”タンク アシメトリックは、オリジナルのタンクのレクタンギュラーフォルムが変形し、文字盤の数字が右に30度ずれることで誕生した既存の観念にとらわれない腕時計であり、今回、時計を熟知した愛好家のためのコレクション、カルティエ プリヴェとして発表された。
また、“過去と未来の出合い”となるのは、サントス デュモン。ルイ・カルティエが1904年に制作した名作に新たなオマージュを捧げ、再設計されたデザインとプロポーションで登場した。
さらにラ・ショー・ド・フォンの職人による“素朴さと洗練”をテーマにしたメティエダールでは、パイユ(藁)やゴールドのマルケトリ(寄木細工の技法)、エナメルのフィリグリン(線条細工)など、マルケトリ職人、ジュエリー職人、デザイナー、エナメル職人、石留め職人、細密画職人の粋を集めた二つの逸品が発表されている。
今回は発表された五つのコレクションのなかでも、編集部が注目した三つのコレクションに絞って紹介する。
パシャ ドゥ カルティエ
1943年にシリーズの原型となるラウンドケースの防水ウオッチが誕生、そして85年に現行コレクションの直接的なルーツとなるモデルが登場したパシャ ドゥ カルティエ。
フィリグラン(線条装飾)のレイルウェイミニッツトラックがスクエアを描くデザインに3・6・9・12の大きな四つのアラビア数字インデックス、剣型のロザンジュ針、そしてラウンド形の防水ケースとミニチェーンでケースに固定されたネジ込み式リューズプロテクターなど、エレガンスと力強さを演出したその個性的なスタイルは、85年の誕生以来、熱狂的な人気を誇っている。
新作として登場したパシャ ドゥ カルティエは、オリジナルに忠実でありながらも、よりいっそう洗練された姿で登場した。
リューズプロテクターのトップだけでなく、リューズにもブルースピネルまたはサファイアをあしらうほか、リューズプロテクターを緩めたときにだけ姿を現す新たなエングレービングサービスを提供。
そして、ケースの下に組み込まれ、ワンプッシュで作動するクイックスイッチシステムはブレスを簡単に付け換えることができるほか、ブレスには道具を使わずに1リンク単位でサイズ調節できる特許出願中のスマートリンクシステムを採用。各リンクにはプッシュボタンがひとつずつ付いており、固定用のパネ棒を取り外すことで、リンクを外したり追加したりすることができる。
進化を遂げているのは、外装だけではない。ムーヴメントには自動巻きのCal.1847 MCを搭載するが、ムーヴメントの脱進機とケースに組み込まれた常磁性合金で作られたシールド部分にリン・ニッケルを用いた非磁性部品を使用することで優れた耐磁性を備えている。
ケースサイズはデイト付きの41mmとノンデイトの35mm(ともにムーヴメントは同じ)、ケース素材はSSのほか、K18YG、PG、WGを用意。さらにスケルトンデザイン仕様やダイヤモンドセット仕様など、バリエーションも豊富にラインナップされている。
■SS(41mm径/9.55mm厚)。10気圧防水。自動巻き(Cal.1847 MC/約40時間パワーリザーブ)。71万円+税(予価。9月発売予定)
サントス デュモン
1904年にルイ・カルティエが友人の飛行家アルベルト・サントス=デュモンのために制作したサントス デュモン。飛行中でも時間が確認できる、初の男性向けウオッチとして誕生し、ビスモチーフが際立つスクエアベゼルとその洗練されたデザインは、カルティエウオッチにおける重要なアイコンのひとつとなっている。今年はそんなサントス デュモンに待望のXLサイズと限定製造のスペシャルエディションが発表された。
サントス デュモン XLは、輪郭を描くケース、緊張感のあるラインなど、昨年発表されたサントス デュモンにも見られるアイコニックなデザインをXLサイズで華麗に表現した待望の機械式ムーヴメント搭載モデル。わずか2.15mmの厚さしかない極薄の手巻きムーヴメント、Cal.430 MCを採用し、ケース厚7.5mmという薄さを実現。これはクォーツムーヴメントを搭載した昨年のサントス デュモンと比較してもわずか0.2mmの違いしかない。
また、サントス デュモンのリミテッドエディションも注目すべき新作のひとつ。リミテッドエディションは5月4日にオンライン ブティックにて先行発売が決定している特別なアイテムだ。
世界限定100本となるプラチナケース(LMサイズ)のサントス デュモン「ル ブレジル」のほか、世界限定300本でK18YGケース(LMサイズ)のサントス デュモン「ラ バラドゥーズ」、世界限定500本でK18YGとSSのコンビケース(LMサイズ)のサントス デュモン「N°14 ビス」、そして界限定30本でプラチナケース(XLサイズ)のサントス デュモン「ラ ドゥモワゼル」が発表された。
■写真はサントス デュモン XL。SS(46.6×33.9mmサイズ/7.5mm厚)。日常生活防水。手巻き(Cal.430 MC/約38時間パワーリザーブ)。59万5000円+税(予価、オンライン ブティックでは5月4日から、ブティックでは今夏発売予定)
タンク アシメトリック
カルティエ プリヴェは、カルティエが繰り返し手掛けてきた伝説的なタイムピースのデザインに焦点を当てたコレクション。2015年からカルティエ プリヴェではクラッシュ、タンク サントレ、トノーを刷新し、個別番号入りの限定品として多彩なモデルを発表してきた。そんなカルティエ プリヴェの新作として発表され、コレクションに仲間入りを果たしたのがタンク アシメトリック。
タンク ウォッチは、ラウンド形の腕時計が主流の時代であった1917年、ルイ・カルティエの斬新なアイデアを取り入れて誕生したレクタンギュラーウオッチ。17〜36年まで、タンクには様々なモデルが誕生した。今回発表されたタンク アシメトリックは36年に登場し、パラレログラム(平行四辺形)やロザンジュ(ひし形)の名で知られたモデル。ケースとともに文字盤上のすべてが右に30度傾いたスタイルは、それまでの腕時計と一線を画し、卓越した存在感を放った。
新作のタンク アシメトリックも36年に登場したオリジナルモデル同様、右に30度傾いたスタイルを採用。ムーヴメントには手巻きのCal.1917 MCが搭載された。写真のK18YGモデルのほか、K18PGモデルとPtモデルも発表されたほか、スケルトン加工が施されたムーヴメントである手巻きのCal.9623 MCを搭載し、スケルトン文字盤を採用したモデルも同時に発表。いずれも世界限定100本の希少なモデルとなっている。
■K18YG(47.15×26.2mmサイズ/6.38mm厚)。手巻き(Cal.1917 MC/約38時間パワーリザーブ)。世界限定100本。279万6000円(予価。12月発売予定)
文◎Watch LIFE NEWS編集部
【問い合わせ先】
カルティエ カスタマー サービスセンター(TEL:0120-301-757)
カルティエ公式サイト
https://www.cartier.jp