その便利さはほかと別格、最新Series 5
筆者は前作のSeries 4も使用したが、最新のSeries 5も前作のSeries 4も外見に大きな違いはない。スペックが物語っているが、素材やサイズも同じで、プロダクトとしてみると大きく変わった点はない。しかしながら、実際に使ってみると、最新のSeries 5のほうが確実に使い勝手が良くなっていることが実感できる。
まず大きなポイントは、ディスプレイが常時表示されるようになった点だ。“そんなこと大した違いではないのでは?”とお思いの方もいるかもしれないが、実際に使ってみると思いのほか便利なのだ。もちろん、これまでも腕を動かせばディスプレイは表示されるのだが、手を動かせない状況でも画面をさっと確認できるようになった点は使っていて非常に便利だった。
ディスプレイの常時表示にはもうひとつ大きなメリットがある。これまでは腕を動かしていないと、ただ黒い画面が見えている状態だったわけだが、これだといかにも道具という印象が強かった。
対して、ディスプレイが常時表示されるようになったことで、デジタルな道具という印象から、通常の腕時計のようなファッションアイテム、アクセサリーとしての役割が強まった。この変化は地味だが、実際に使ってみると実感できる大きな魅力と言えるだろう。
さらにもうひとつ、使い勝手が良くなったと感じたのが新たに搭載されたコンパス機能。といっても、コンパス機能そのものというより、マップアプリ使用時に自分がどちらの方向を向いているかわかるようになったことのほうがポイントが高い。使ってみるとこれが思いのほか便利で、マップアプリが格段に実用的になった。特に方向音痴の人には心強い味方となるはずだ。
Apple Watch Series 5は2サイズ用意されているが、今回のレビューでは、40mmモデルを着けてみた。40mmというと、スマートウオッチとしては小振りな部類になるが、ディスプレイもくっきり美しく見やすい
Apple(アップル)
Apple Watch Series 5
2019年9月に発売された最新モデル、Apple Watch Series 5。ケース、ストラップとシリーズ中、最も素材バリエーションが充実。ケースに関してはアルミニウムにステンレススチール、そして特別なApple Watch Edition のチタニウムモデル、セラミックモデルと4タイプから選べる。なお、外見上は前作Series 4と比較しても大きな変更はほとんどなし。変更点は機能面で、最新のwatchOS 6の採用に伴うものだ。
■ゴールドステンレススチールケース、ストーンスポーツストラップ。ケースサイズ40mm。50m防水。充電式。8万80円
(右)画面をスクロールするときなどに使用するデジタルクラウン、そして最後に使ったアプリ、あるいは自分で設定したアプリをすぐに呼び出せるサイドボタンなども健在。
(左)ケース厚は最新のApple Watch Series 5も、前作のSeries 4も同じく10. 7mm。また、ケースサイズは40mmと44mmの2種類あるが、どちらも厚みは同じだ。
Series 4と何が変わった?
ディスプレイの常時表示でより時計的に
Series 5では、ディスプレイが常時表示となり、手を動かせない状態でも画面を確認できるようになった。一方、バッテリーはSeries4と同じく18時間なので、実質的には省電力に成功している。なお、常時表示は設定でオフにでき、プライベートな内容を非表示にすることもできる。
コンパス搭載でマップがより便利に
Series 4との最大の違いと言ってもいいのがコンパスの搭載であろう。コンパスを使用すると自身の向き(時計のケースの向き)を正面として真北を赤い針が指し示す。さらなる恩恵として、マップアプリで向いている方向がわかるようになり、マップアプリの利便性が格段に向上した。
App Storeから直接ダウンロード可能に
watchOS 5までは、基本的にアプリのインストールはiPhone 側でダウンロードする必要があったのだが、watchOS 6ではApp Storeに直接アクセスしてアプリをインストールすることが可能に。アプリ検索は音声入力にも対応しているので、役に立ちそうなアプリを簡単に探すことができる。
ほかにもまだある!意外に役立つ新機能
実はwatchOS 6が初採用の計算機アプリ
むしろ、これまで搭載されていなかったのが不思議なくらいだが、Apple Watchで計算機アプリが使用できるようになった。一般的な四則演算ができるほか、画面を強く押すと“チップ計算”というメニューが表示され、チップ込みの料金計算ができる。また、人数という項目もあるので、これを使えば割り勘の金額計算も簡単に行える。
耳の健康を守るのに役立つノイズアプリ
Apple Watch のマイクを使って周囲の騒音をモニターするノイズアプリ。騒音が90デシベル(80〜100デシベルの範囲で任意に設定できる)に達し、聴覚に影響を与える可能性があるときに通知してくれるというもの。ピンと来ない人も多いかもしれないが、知らず知らずのうちに進行することが多い難聴の抑止効果が期待できる。
復活したセラミックケースと新たに加わったチタンケース
伝統ある時計製造の職人技から生まれた特別なコレクションとしてラインナップされているApple Watch Edition。過去にはフルゴールドモデルが発売されたこともあったが、Series 5ではSeries 3以来となるホワイトセラミックモデルが再登場。さらにケースにチタンを採用したモデルが初めて登場した。
搭載OSなどは通常のSeries 5と同じなので、機能的に変わらないが、時計メーカーも顔負けの優れた作り込みを備えているので、時計好きの方にはぜひともにその出来栄えを実際にチェックしてみてほしい。きっと驚くはずだ。
■チタニウムモデル:40mmモデルは9万1080円〜、44mmモデルは9万6580円〜。セラミックモデル:40mmモデルは14万718 0円〜、44mmモデルは15万2680円〜
右はセラミックモデル、左はチタンモデルのケースを拡大した写真である。セラミックケースは一つひとつ圧縮成形し焼結された後、ダイヤモンドスラリー(人造ダイヤモンドの微粉を水や油に混ぜたもの)を使って研磨。そしてチタンモデルは素材本来の質感を生かしたツヤ消しの仕上げを施す。どちらも難加工素材であり、普及が進んでいる時計業界でもハイレベルな加工を行えるところは数えるほどしかない。どちらも驚くほど高い精度で加工されており、並々ならぬこだわりぶりが垣間見える。
文◎佐藤杏輔(編集部)/写真◎水橋崇行
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