マニュファクチュールの伝統を守りながら、さらなる刷新を続けるジャガー・ルクルト。“Watches & Wonders 2020”で発表されたばかりの新作速報をお届けしよう。
新たなデザインと機構を採用し、マスター・コントロールコレクションを刷新
マニュファクチュールの伝統を守り続ける数少ないブランドであり、“グラン・メゾン”とも称される名門ジャガー・ルクルト。長い歴史のなかで様々なアイコンモデルを輩出しているが、そのなかにあって時計の機能や精度にこだわる同社の職人気質な気風を象徴するのが、コレクションの中で初めて先駆的な1000時間コントロール認証を受け、1992年に登場したマスター・コントロール コレクションだろう。
コレクションの名称は、ケースに収納された時計全体に対して実施される独自のテストから名付けられており、ジャガー・ルクルトのスタンダードコレクションとして支持を集めているが、2020年の新作モデルではこのマスター・コントロールに焦点を当て、大幅なリニューアルが実施された。
現代的なアレンジを加えた40mmのケースでコレクションを統一したことに加え、植字されたインデックスなど、ディテールもより一層洗練されたデザインコードを採用。ムーヴメントに関してもパワーリザーブを最大70時間まで引き上げるなど、全体的な性能と信頼性を向上させている。
マスター・コントロール・カレンダー
機械式時計の黄金期とされる1940年代と50年代、ジャガー・ルクルトはトリプルカレンダーとムーンフェイズを搭載したムーヴメントで名声を得た歴史をもつ。2020年の新作として発表されたマスター・コントロール・カレンダーは、その歴史と伝統を継承し、21世紀のニーズに合わせてブラッシュアップを施しつつ蘇らせたモデルでもある。
文字盤上で美しく調和するクラシカルなカレンダー機構のレイアウトは往年の名作からそのまま継承されており、文字盤の外周に記された日付けを先端を赤く染めた針が指し示す。曜日と月は文字盤上部に小窓で表示され、ムーンフェイズは文字盤下部の6時位置のスモールセコンドのインダイヤル内に配置されている。
ただし、単に伝統的な機構と意匠を再現したわけではない。ジャガー・ルクルトのエンジニアは、搭載するCal.866に性能向上のための改善を施し、軽やかなジャンピングデイト機能を追加。日付けの表示針がムーンフェイズを遮ることがないよう、毎月15日から16日に変わる際には針がジャンプする仕組みにより、日付け表示の実用性がアップデートされている。ケースは現代的なプロポーションを備えつつ、エレガントさを感じさせる40mm(厚さ10.95mm)。ステンレススチール製とグランド・ローズゴールド製がラインナップされている。
■Ref. Q4148420。SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.866AA/70時間パワーリザーブ)。予価118万円+税
マスター・コントロール・クロノグラフ・カレンダー
クロノグラフ、トリプルカレンダー、ムーンフェイズと、ジャガー・ルクルトでは初となる複雑機構を組み合わせたマスター・コントロール コレクションの花形モデル。
絶妙な均衡を保つ3時位置の30分積算クロノグラフカウンターと9時位置のスモールセコンド、文字盤上部にある曜日と月の表示窓とのバランスを考慮して6時位置に配置されたムーンフェイズ表示および日付表示など、トリプルカレンダーとクロノグラフという二つの伝統的な複雑機構が文字盤の上で調和するようにレイアウトされており、表示される情報の複雑さにも関わらず、簡単かつ直感的に表示を読み取れるように仕上げられている。
また、中央に設置されたクロノグラフ秒針が表示全体の要となっており、文字盤を取り囲むフランジにはパルスメーターの目盛りを配置。さらに、このクロノグラフ・カレンダーのタイムレスなスタイルを完成させる長方形のクロノグラフ用プッシュボタンが、均整の取れた厚さ12.05mmのケースに機能的でモダンな雰囲気を付与している。
ムーヴメントは新開発のCal.759を搭載。65時間パワーリザーブに加えて、垂直クラッチを採用したコラムホイールクロノグラフとムーンフェイズ表示を備え、極めて実用性も高い。ステンレススチール製とグランド・ローズゴールド製がラインナップされている。
■Ref. Q4138420。SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.759/65時間パワーリザーブ)。予価156万円+税
マスター・コントロール・ジオグラフィーク
ジャガー・ルクルトは、1990年からトラベルウォッチを独自の観点で解釈してマスター・コントロール コレクションに反映させ、愛好家から高い評価を得てきた。特徴的なのがその機構。第2時間帯の時表示だけでなく、文字盤下部の小窓に配置された24時間のデイ/ナイト表示を備え、表示している時間帯に関連する都市名も表示することができる。この機能により、時差を計算することなく、所在地によって二つ目の時刻を設定することが可能になっているのだ。
新たに発表されたマスター・コントロール・ジオグラフィークでは、タイムゾーン表示、日付け表示インダイヤル、パワーリザーブインジケーターがバランス良く配置されたなじみ深いジオグラフィークのデザインと機構を受け継ぎながら、現代的なアレンジが加えられた。
幅広の凸型フランジに細長い三角形のインデックスを配置し、その内側の文字盤全体にサンレイブラッシュ仕上げを採用。各インデックスの形状は、フランジと文字盤が接するカーブにぴったり合うように整えられおり、ブルースチールの針がその鮮やかな色彩で優れた視認性を確保している。
また、新世代の自動巻きムーヴメント、Cal.939を搭載することでパワーリザーブを70時間に強化しているのも大きな特徴といえるだろう。ステンレススチール製とグランド・ローズゴールド製がラインナップされている。
■Ref. Q4128420。SS(40mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal. 939AA/70時間パワーリザーブ)。予価131万2000円+税
文◎Watch LIFE NEWS編集部
【問い合わせ先】
ジャガー・ルクルト(TEL:0120-79-1833)
ジャガー・ルクルト公式サイト
https://www.jaeger-lecoultre.com