前回の定点観測(ロレックス通信No.28|2020年2月16日配信)で、新型コロナウイルスによって3月にスイスで行われるはずだったスウォッチグループの新作発表会が中止になったことを伝えた。その後の3月1日に配信したNo.30では、2月下旬になってリシュモングループのSIHHに続いて、ロレックスなどが新作を発表するバーゼルワールドまでもが事実上の中止を発表するなど、スイス時計産業全体にも波及していることを書いた。そしてここにきて並行輸入店でのロレックスの実勢価格にもついに影響が出始めている。
2月上旬まで右肩上がりに上昇していたロレックスの実勢価格は、前回2月16日の定点観測の時点では、どちらかというと高止まりのまま小康状態という状況だった。それが3月に入ると途端に下落に転じたのである。
下に書いた相場一覧を見ると、GMTマスター II の青赤ペプシベゼルとグリーンサブが17万円。そしてデイトナが11万円と、いわゆる異常な値を付けていた3モデルの下落が特に顕著だ。
これは、新型コロナウイルスのパンデミックが明らかになるにつれ世界経済にも波及、株安、円高、自粛などに伴う消費の停滞が大きな要因にほかならない。特に訪日客の減少、つまりインバウンド消費の停滞は、日本におけるラグジュアリー市場の売り上げを支えていただけに、かなり深刻のような気がする。
そして、気になるのは今後どうなるかということだ。これについていくつかの並行輸入店に聞いてみたが、現時点での状況がまだ続くと仮定するとさらに下がる可能性は少なくないという意見だった。
ただ、気になる点がひとつある。そんな話をしていた後になって、急遽ロレックスが3月17日からの10日間、ジュネーブ、ビエンヌ、クリシエの工場を閉鎖することが報道で明らかになったからだ。
現在、消費が鈍化しているとはいえ、いまだ正規店では商品がなく、定番のレギュラーモデルのほとんどが並行輸入店においてプレミアム価格で売られているほど、供給は追いついていない。
たとえ閉鎖は一時的だとしても、心理的な面も含めて市場へ与える影響は少なくはないのではないか。そう考えると今後これが日本にどのような影響をもたらすのかまったく読めない状況だ。
さて、次回3月29日のロレックス通信 No.34ではリーマン・ショックのときと今回を比較して考えてみたいと思う。
■ 主要11モデルの月間ロレックス相場(3月18日更新)
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【GMTマスターII/Ref.126710BLRO】
・実勢価格:207万円→190万円(↓) 先月より17万円ダウン
【デイトナ/Ref.116500LN】
・実勢価格:268万円→257万円(↓) 先月より11万円ダウン
【サブマリーナデイト/Ref.116610LN】
・実勢価格:136万円→129万円(↓) 先月より7万円ダウン
【サブマリーナデイト グリーン/Ref.116610LV】
・実勢価格:185万円→168万円(↓) 先月より17万円ダウン
【ミルガウス/Ref.116400GV
・実勢価格:93万円→93万円(→) 先月と変わらず
【ヨットマスターロジウム/Ref.126622】
・実勢価格:148万円→146万円(↓) 先月より2万円ダウン
【ディープシー/Ref.126660】
・実勢価格:154万円→150万円(↓) 先月より4万円ダウン
【エアキング/Ref.116900】
・実勢価格:74万円→72万円(↓) 先月より2万円ダウン
【デイトジャスト/Ref.126200】
・実勢価格:69万円→71万円(↑) 先月より2万円アップ
【エクスプローラーII/Ref.216570】
・実勢価格:112万円→104万円(↓) 先月より8万円ダウン
【エクスプローラーI/Ref.214270】
・実勢価格:87万円→83万円(↓) 先月より4万円ダウン