新型コロナウイルスがスイス時計産業にも影響を及ぼしている。
これまでは、1月開催のカルティエを筆頭にパネライやA.ランゲ&ゾーネ、IWCなどが新作モデルの発表を行うSIHH(通称ジュネーブサロン)、続いて3月のロレックスやパテックフィリップ、タグ・ホイヤーなどが参加する世界最大級の時計と宝飾の見本市「BASEL WORLD(バーゼルワールド)」と、この2大イベントによってその年の主要ブランドの新作時計が出揃う、時計業界にとって1〜3月はとても重要な時期なのである。
そして今年は、巨大な時計グループとしても知られているスウォッチグループ傘下のオメガやブレゲなどの新作発表イベント「TIME TO MOVE」が3月。SIHHから改名された「WATCHES&WONDERS」が4月25日からで、その後の4月30日から「BASEL WORLD(以下バーゼルワールド)」と、3月から5月上旬にかけての開催が予定されていた。
それが、最後まで動向がはっきりしなかったバーゼルワールドが日本時間の28日夜になって来年1月に延期すると発表したことで、すべての新作発表イベントは事実上の中止となった。もちろんこれは新型コロナウイルスの感染拡大で、安全確保が難しいという理由からだ。
実は新作を発表する場と同時に、各国のバイヤーとの新作モデルの商談の場でもあったため、時計産業にとっては年に一度の重要なイベントでもある。その意味でも今回の中止がスイス時計産業界に与える影響は大きいだろう。
我々メディアもこの新作情報は話題性も高く重要なテーマ。今後どのようにして新作が発表されるのかもいまだに不透明で、その動き次第では5月以降のページの編成を考え直さなければならないなど、混沌とした状況はさらに続きそうだ。
さて、今回ロレックスが参加するバーゼルワールドは、延期と発表しているようだが、開催日は2021年1月28日~2月2日と来年の話なのである。確かに物は言いようかもしれないが、これでは延期というよりはいさぎよく中止と言ったほうがしっくりきそうなものだが(笑)
そんなことはさておきこの日程を見て気がかりなことがひとつ。それは2021年モデルの開発が日程的に各社間に合うのだろうかということだ。これによってまたバーゼルワールドへの参加ブランドが減らないか逆に心配になる。そうならないことを祈るばかりだ。
そして、このバーゼルワールド中止によってもうひとつ気になることがある。それはロレックスの2020年新作モデルの発表は今年どのように行われるのかということだ。読者の皆さんにはどうでもいいことかもしれないが、我々メディアにとっては、時計ブランドの中でも飛び抜けて注目度が高いブランドだけに、情報解禁のタイミングはとても重要なことなのである。
昨年は、バーゼルワールドで公開すると同時に開催初日のスイス時間で昼の12時(日本時間20時)に、一斉に公式ホームページにその新作情報がアップされた。今回もそれに準ずるとすれば本来の開催日だった4月30日の日本時間で20時に日本ロレックスのWEBサイトで公開されることになるのだが、果たして結果はいかに。。。