高級時計と言えばスイスのイメージが強いが、かつて時計産業の中心といえばフランスだった。
16世紀末、ユグノーと呼ばれるプロテスタントの人々は、カトリックからの弾圧や宗教戦争のために祖国を捨て、フランスとの国境に沿って長く連なるジュラ山脈一帯に逃れて時計づくりをはじめ、これが現在のスイス時計の礎となった。
一方でフランスの時計産業はその後も発展を続けた。1960年代、フランスのモルトーやブザンソンでは15のマニュファクチュールを含む250もの時計メーカーが存在していたと言われ、実はスイス時計産業に従事している時計職人にはフランス人が多い。
ただ、70年代以降のクォーツウオッチの台頭でフランスの時計メーカーの多くが姿を消した後、時計ブランドとしてフランスに根を下ろすところは少なかった。
だが、近年フランス時計産業の動きが活発化している。
例えば、日本上陸を果たしているブランドで言えば、ペキニエがフランス唯一のマニュファクチュールとして優れた機械式腕時計を手がけるほか、フランスの古豪ブランドであるイエマが近年、本格的に再始動。さらに新興ラグジュアリーブランド、フェノメンがブザンソンに誕生するなど話題に事欠かない。
ここで取り上げたブランドのようにフレンチブランドにはまだまだ粒ぞろいの存在が多く、今後、日本でも大きな存在感を示すことになるだろう。
なお、MW&Co(エムダブリュー)とSARTORY BILLARD(サルトリー・ビラール)は、日本未上陸のブランドゆえ、あしからずご了承を。
TRILOBE(トリローブ)
レ・マティノー
時間を開放するというブランドのコンセプトのもと、自由な時間の表現を目指してゴーティエ・マソノー氏が創業したトリローブ。時分秒が記された三つのリングが回転し、文字盤にあしらわれたブランドのアイコンでもある“三つ葉”モチーフで時刻を指し示すというユニークな表示をもつのがフラッグシップコレクションのレ・マティノーである。ジュネーブ ウォッチグランプリ(通称GPHG)2019にノミネートされ、8000スイスフラン以下の時計のなかで優秀な時計に送られる“小さな針賞”を受賞した。
■Ref.LM01A18A。SS(41.5mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.ETA 2892ベース/ジャン・フランソワ・モジョン氏が開発したディスプレイモジュール)。価格未定
レ・マティノーに採用されているムーヴメント。ETAのCal.2892をベースにしたもので、クロノード社のジャン・フランソワ・モジョン氏が開発した特別な“エキセントリック”ディスプレイモジュールを載せる
MW&Co(エムダブリュー)【日本未上陸】
アセット 2.1
フランス南西部の都市、トゥールーズ生まれのロマン・ムサト氏が中心となって設立されたエムダブリュー。本作はそのファーストコレクションとなるフライバッククロノグラフ。世界初のエクステンションを内蔵した独自設計のラグで制振・免震機能をもつシリンダーホーンシステムを搭載。ムーヴメントこそエテルナ社から供給を受けているが、可能な限り“フランスメイド”にこだわり、基本的に設計や研究開発、製造、組み立てはすべてフランスでのみ行われる。
■Ref.212017。TI(46mm径)。3気圧防水。自動巻き(Cal. ETERNA 3916A)。1万4400ユーロ(日本円で約174万2400円)
SARTORY BILLARD(サルトリー・ビラール)【日本未上陸】
SB03 別注モデル
真にユニークな時計を作ることをコンセプトに、創立者でありデザイナーであるアーマンド・ビラード氏により設立されたフランス発のカスタムメイドウオッチブランド。現在、四つのコレクションを展開するが、SB03は文字盤にこだわったコレクション。ムーヴメントはスイス製の機械式を採用するが、なかでも写真のモデルはハンドギョーシェによる文字盤にパープルカラーを施し、その上にスチールインデックスを合わせた個性派。なお、力強い針もハンドメイドによるもの。
■SSケース(42mm径)。防水性不明。自動巻き(スイス製)。2200ユーロ(日本円で約26万6200円)
●掲載している日本円価格は、1ユーロ=121円で計算、算出したものです。
文◎佐藤杏輔(編集部)
【問い合わせ先】
TRILOBE トリローブ
ノーブルスタイリング TEL:03-6277-1604
TRILOBE公式サイト
https://trilobewatches.com
MW&&Co公式サイト
https://mwandco.com
SARTORY BILLARD公式サイト
https://sartory-billard.com