女性編集者がレディースウオッチの新作を実際に見て、感想を交えて紹介する本企画。今回はHARRY WINSTON(ハリー・ウィンストン)のなかでも小振りなサイズで日本人に人気のHW アヴェニューCミニ・ムーンフェイズの新作を取り上げる。
【モデル紹介】
“HW アヴェニューCミニ・コレクション”は、洗練されたニューヨークの雰囲気をイメージした代表的コレクション、HW アヴェニュー・コレクションのなかでケースサイズが最も小さいシリーズだ。15.6×32.3mmというケースサイズで手首の細い女性にもフィットするため、体格の小さい日本人女性から好評を得ている。そのなかでも特に人気があるムーンフェイズを搭載したシリーズ“HW アヴェニューCミニ・ムーンフェイズ”に新作が登場した。ムーンフェイズとは、月の満ち欠けを表現する、伝統的な時計の機構のひとつ。幻想的で美しく、個人的にも好きな機構のひとつだ。
しかし今回は、あえてムーンフェイズの説明に焦点を当てず、ハリー・ウィンストンならではの装飾に焦点を絞って、モデルを紹介していこうと思う。というのも2019年はHW アヴェニュー・コレクションが誕生して20周年という記念すべき年であるため、同ブランドはHW アヴェニュー・コレクションの意匠が持つ美しさを表現した意欲作を数多く発表したのだ。
今回取り上げる新作にもハリー・ウィンストンの高度な技術が各所に盛り込まれている。そうしたポイントを、これから順々に紹介していこうと思う。
まず注目したいのが文字盤中央、楕円形にダイヤモンドがぎっしりと敷き詰められている部分。これは“パヴェダイヤモンド”と呼ばれるダイヤモンドの配置方法で、隙間なくセッティングするのが特徴的なデザインだ。どの角度から見てもダイヤモンドの輝きを楽しめるので、実際に腕に乗せて動かしてみると、ついつい見惚れてしまうほどキラキラと輝きを放っていた。
実は、ハリー・ウィンストンではどんなに小さなダイヤモンドにも、ブランドが定める一定以上の等級のものしか使わない。これらのひと粒一粒が、こだわり抜かれた高品質のダイヤモンドとは驚きだ。
また3時位置と9時位置には、それぞれ4個ずつバゲットカット・ダイヤモンドを配置。ケース部分にはブリリアントカット・ダイヤモンドをあしらうなど“キング・オブ・ダイヤモンド”と謳われる同ブランドの高度なセッティング技術を見て取ることができる。
個人的に“これだけダイヤモンドを使っていると、時計の針が見えにくいのではないか”と思っていたが、ダイヤモンドの輝き方が上品であるため、視認性はきちんと確保されている。ダイヤモンドの美しい輝きと、実用性を兼ね備える、細部まで計算されたつくりに高い技術力を感じた。
次に興味を持ったのが、マザーオブパールを採用した文字盤だ。色合いがとても鮮やかなのが気になって質問してみると、マザーオブパールに直接ハンドペイントで色付けしているとのこと。一般的なカラーのマザーオブパールは、シェルの下にさらにカラーシートを入れることで透かすように色を出すが、このモデルは直接色をペイントする。そのため、マザーオブパールの風合いと鮮やかなカラーリングを、よりダイレクトに楽しむことができる。
【装着感は?】
腕に乗せるととても小振りで、腕馴染みも良い。軽くて着け心地も良いので、サイズが合わないなどのストレスに悩まされることはなさそうだ。 小振りの時計というと“手首が細い人しか似合わないのではないか”と個人的には思っていたが、一般女性の平均より手首が少々太めの私が着けても、しっかりと女性らしい雰囲気を引き出してくれた。ちょっとしたお出かけの際に着用することで、女性としての自信を高めてくれる時計だと思った。
【推しのポイント】
小振りで立体的なケースデザイン
実機を見て気付いたのだが、本作はHW アヴェニュー・クラシックよりも風防のカーブを強くして、より立体的に見えるように設計されていた。小振りなケースサイズがより立体的に強調されるため、着ける人をより華奢に見せるのだろう。
さらに文字盤中央に採用された楕円形の“エリプティック”と呼ばれるデザインと、長方形のレクタンギュラーのケースとのコントラストが、造形の美しさを引き立てているように感じた。
ダイヤモンドの美しさ、加工技術、セッティングの技術はもちろんだが、ダイヤモンドをより美しく見せる時計のデザインにも心引かれた。そうした高い技術が合わさることで、女性の腕元をより綺麗に見せてくれる、宝飾品としての要素も兼ね備えた時計だと思った。
今回ハリー・ウィンストンの時計に触れてみて、最初はこんなラグジュアリーな時計が似合うのはどんな女性だろう、自分には似合わないだろう、と想像しながら取材をしていた。しかし実際に着けてみると予想に反し、しっくりと腕に馴染んでくれた。
着用することであらゆる女性に自信を与えてくれる。そんな時計を取材できたことを、一女性としてもうれしく感じた。
*スペック*
(左)Ref:AVCQMP16WW004。(右)Ref:AVCQMP16RR004
HW アヴェニューCミニ・ムーンフェイズ
【ケース】
(左)K18WGケース。(右)K18RGケース
【価格】
(左)320万円(税別)。(右)305万円(税別)
【ムーヴメント】
クォーツ
【ケースサイズ】
15.6×32.3mmサイズ
【防水】
3気圧防水
【文字盤】
マザーオブパール×ダイヤモンド
【ベルト】
アリゲーターベルト
※ブレスタイプ、フルダイヤモンドブレスタイプの用意もあり
【発売時期】
発売中
【問い合わせ】
ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション
https://www.harrywinston.com
TEL:0120-346-376
文◎佐波優紀(編集部)