新米女性編集者の松本由紀が、ユーザーの方と同じ第3者の目線で、“ちょっと変わった面白い腕時計”を毎週紹介!
これまで連載コラムで紹介してきたものは文字盤の中の機械の構造でどれだけ意匠を凝らせるかというものが多かったが、今回紹介するパリ発のファッションウオッチブランド“LAPS(ラプス)”は、構造ではなく、そのデザイン性と普通の時計では使わないような“ユニーク素材”を使った文字盤が最大の特徴だ。
また、これまでは毎回、ひとつのコレクションをクローズアップしてきたが、ラプスの場合は、全体の時計がすべて同じコレクションのような統一されたコンセプトになっているので、コレクションというよりも、ブランドごと魅力を紹介しようと思う。まずはラプスについて紹介しておこう。
》3万円台アンダーとは思えないこだわりに注目
ラプスはオーナー兼デザイナーのアントナン・メルシエ氏によって設立された新進気鋭のウオッチブランド。同社の時計はパリの限られたセレクトショップで展開されており、そのアーティスティックな感性により作られたアイテムは若者を中心に、ファッションに高い関心を持つ幅広いユーザーから支持を集めている。
文字盤にはアントナン・メルシエが独自の感性で選び出した様々な素材を使い、なんと全てのモデルが、パリでも有数のアートギャラリーが集まる流行の発信地、ル・マレの職人によって手作業で作られているのだ。
上の写真の“トルセドール”モデルの文字盤は原産地にもこだわった葉巻の葉っぱを採用しており、全てのアイテムで異なるフェイスを持つ。
額縁をイメージしたレクタンギュラーのケースも小振りなため装着感は抜群。ラプスのケース径は最大のサイズでも横幅は30mmまでしかなく、男性の方は小さすぎると感じるかもしれないが、スタイリッシュなケースと文字盤のインパクトにより存在感を主張してくれる。大きさはあまり気にならないだろう。もちろん、ペアウオッチやシェアウオッチとしてもおすすめしたい。
また、ラプスはハンドメイドのため生産数を限定しており、一つひとつのアイテムにシリアルナンバーが与えられているのも特徴のひとつ。ハンドメイドの文字盤とシリアルナンバーにより、手頃な価格でありつつ、オーナーの所有欲を満たしてくれるのもラプスの魅力なのだ。
》ひとつとして同じものはない、オンリーワンの個性
ラプスでは先ほど紹介した葉巻の他にも、ウッド、レザー、地図、羽、ヴィンテージの写真など、幅広い素材の文字盤を採用しており、地図や写真以外の自然の素材は全て表情が異なる。ここからは、数あるラプスのモデルの中でも私が特に気に入ったモデルを紹介していこう。
こちらは本物のクジャクの羽を使用した“ピーコック”。人工物でない自然な色合いは、本物の素材でしか生み出せない。
■Ref. lp-a26-pc。SS(26×35mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。2万6784円
さきほど紹介した“トルセドール”は葉巻を巻く人を意味する言葉。文字盤の葉巻の葉っぱにもこだわりを持ち、キューバ原産のものしか使用していない。
■Ref. lp-m26-tc。SS(26×35mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。2万1384円
アメリカの写真家アルフレッド・スティーグリッツ氏が長年被写体としていた奥さんの写真を文字盤に使用したモデル、“ジョージア”。■Ref. lp-s26-ge。SS(26×35mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。1万8144円
パリの職人たちにより作り上げられたレザーによる寄せ木造り風の“トリップティック”。なめし革職人が調達したレザーをもとに、文字盤に収まるように職人が手作業で作り上げる、手の込んだ文字盤がポイントだ。
■Ref. lp-a30-tr。SS(30×39mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。3万24円
文字盤でパリの街を案内する、60年代に使用されたメトロマップを採用した“パレロワイヤル”。ルーブル美術館からパレロワイヤル広場へと案内している。
■Ref. lp-s26-pls。SS(26×35mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。1万8144円
特に私が気に入ったのは実際のクジャクの羽を大胆にあしらったピーコック。ひとつとして同じデザインのないラプスの時計だが、その中でもクジャクの羽を使った文字盤は、他のモデルと比べて色合いや模様の個体差が出やすいため、一番印象が変わるのではと思ったのだ。
他とは違ったラプスの唯一無二の時計を着けてアーティスティックな週末を過ごしてみてはいかがだろうか。
文◎松本由紀(編集部)
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