色や質感、そして素材で
ずいぶんと雰囲気が変わる
腕時計を新規でデザインから作っていく場合に、顔となる文字盤のレイアウトばかりに気を取られがちだが、それに合わせる革ベルト(あるいはブレスレット)も意外に重要になってくる。それは、革ベルトの雰囲気次第で全体の印象がかなり変わってくるからだ。
弊社が刊行する時計専門誌「POWER Watch」でも毎号と言っていいぐらいに、ベルトアレンジがいかに効果的かを紹介しているが、ビジネスウオッチでもステッチの効いたものに変えるだけでちょっとカジュアルな印象になったり、ヴィンテージ風レザーを合わせてレトロ調にしてみたりと、同じ時計でもベルトの色や質感、そして素材を変えるだけで、雰囲気もガラッと変わり、それだけでも結構楽しめる。
極論すると腕時計を何本も所有せずとも、付け換え用のベルトを数本用意するだけで、その日のファッションや気分に合わせてコーディネイトが楽しめてしまうというわけだ。それは同時にお財布にも優しい。
そんなわけで、コンプレダイバー1960用の革ベルトもかなり悩んだことのひとつだ。
時計自体1960年代をイメージしているため1本はヴィンテージ調のもの、そしてもう1本は、ビジネスでも使えるプレーンなものを選ぶ際の方向性として選定を始めた。
ヴィンテージと言ってもそのままダメージ加工風ではマニアックになるため、今回は少しファッション性を意識して色味があって若干光沢のあるものを選んだ。もう一方は、単なるカーフだと真面目すぎるので、同色のステッチ入りで、しかもマット調のものをチョイス。カチッとしすぎないようなものを選ばせていただいたのである。
ブラック文字盤にはブラウンのヴィンテージ調レザーとブラックのマットなレザーを付属。Ref.YK18001-1。SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き(MIYOTA Cal.9015)。150本限定。4万8600円
ネイビー文字盤にはネイビーのヴィンテージ調レザーとダークブラウンのマットなレザーを付属。Ref.YK18001-1。SS(40mm径)。10気圧防水。自動巻き(MIYOTA Cal.9015)。150本限定。4万8600円
ヴインテージ調といえども様々な種類があってかなり迷った。実際に十数種類のヴィンテージ調レザーを試してみて、その中からイタリアンレザーを使用し程よいカラーと若干光沢感があるところが気に入った。付け根のかがり縫い(下の写真)と剣先のステッチもアクセントになっている。裏材には水や汗に強い合成皮革“LORICA(ロリカ)”を使用。夏場の時期にも対応している
今回はベルト交換を容易にするためにピンレバー式(赤丸印)に改良している。仕組みはいたって簡単。ピンレバーをスライドさせることによって、ラグ側の穴に引っかかっているバネ棒を内側に引っ込ませることができる。それによってベルトが簡単に外れるというものだ。これまでは、ベルトを交換する場合に専用のドライバーが必要だったが、指で簡単に着脱できてしまうというスグレモノである(写真は開発時のものです)
アウトライン第2弾は
航空時計がモチーフ!
やっと最終形のサンプルが上がってきた。本来であればちゃんとカメラマンに撮ってもらったうえで皆さんに紹介したかったのだが、今回は筆者自身がスマホで撮った写真でご勘弁いただきたい。
そして、今回はかつての航空時計をモチーフに作らせていただいた。手前味噌ながらなかなかいい感じで仕上がったと思う。この新作もこれからベルトの選定作業。さてさてどんな雰囲気になるのかお楽しみに。そして弊社クラウドファンディングサイト「WATCH Makers」にて7月下旬より数量限定で先行発売予定。乞うご期待を!