実父から譲り受けたクォーツの角形時計(左)と、義母からいただいたロレックス デイトジャスト(右)。いずれも大事な人との縁を象徴する大事な時計
ダンディーな佇まいの川野さんが愛用する時計は、金無垢コンビのロレックス デイトジャストだ。
「結婚したときに妻の母からもらったものです。結婚する前から僕は彼女の家によく遊びに行っていて、よく義母とふたりで話したりしていて気が合ったんですよね。若い頃は服飾関係の仕事をしていて、ドイツでも働いていたことがある非常にオシャレな人なんです。普段仕事で撮影の現場に入るときは、衣装替えもあるのであまり時計をして行かないんだけど、パーティーなどのときはこれを着けることが多いですね」
もう1本ご持参いただいたレクタンギュラーケースの時計は、高校・大学時代に愛用していたものだ。
「高校生のときに父親からもらったものですね。革ベルトもボロボロになっちゃったし、もう着けることはないんですが、たまにこの時計を眺めていると父のことを思い出します。中学・高校・大学時代はずっと野球部に所属していました。大学はセレクションも受けたんだけど、箸にも棒にも引っかからず、結局は浪人して翌年入部したんです。それまでは野球しかやってなくて勉強はさっぱりだったから、あの浪人時代ほど人生で勉強したことはなかったですよ(笑)。当時の早稲田はスポーツ推薦の枠がありませんでした。野球部の同級生には早実出身が4人くらいいただけで、ほとんどが普通に受験して入ったんじゃないかな。3浪して入ってきてた部員もいましたからね」
野球部時代はほとんどが集団行動だけに、時間に対する厳しさも徹底して叩き込まれた。
「大会前になると、下級生は日も昇らない早朝からグラウンド整備をさせられるんですが、僕は朝が苦手でそのときも遅刻してね。先輩にこっぴどく怒られたりしました。いまでも時間の使い方はうまくないし、時間の使い方がうまいテキパキした友だちを見ていると羨ましくなりますね。時計って人生の流れを表す道具だと思うし、針が動くのを見ているとこの一瞬を大事にしなきゃいけないなと思います。過ぎた時間はもう戻ってこないものだし、この歳になるとそのときを一生懸命生きなきゃいけないなって実感します」
現在所有する時計は5〜6本程度。時計のことを普段から強く意識しているわけではないが、興味は尽きないという。
「指輪もしないし、そういう意味では時計は唯一のアクセサリーみたいなものだろうけど、ほかには家族で海外に行ったときに妻とペアで買ったエルメスなどを持っているくらいですね。ただ買いものをするときはあまり値札を気にしないで買っちゃうほうなので、後で妻に怒られたりもします(笑)。時間の確認は、ケータイで済ませちゃうことも多いけど、雑誌などを見るとやはり気になりますね」
TARO KAWANO 1960年4月11日、山口県出身。中学高校時代から野球部に所属し、早稲田大学でも野球部で二塁手として活躍。85年にNHK連続ドラマ小説『澪つくし』で俳優デビューし、沢口靖子との共演で人気を得る。その後は大河ドラマを筆頭に様々なドラマや映画への出演のほか、テレビ朝日『料理バンザイ!』のレポーター役としても知名度を上げている。精悍なルックスと幅広い役柄をこなす演技力に対する評価は高い。