クドケの新しい幕を開ける
芸術的な自社ムーヴメント
彫金師にして時計師でもあるステファン・クドケ氏。その彼が作り出す腕時計と言えば、何といっても時計の土台を肉抜きしたスケルトンウオッチだろう。
時計のデザインから加工までひとりで、しかも手仕事にこだわり一つひとつ手彫りで行う芸術的かつ繊細なエングレービングが高い評価を得るが、加えて、実は自社でローズゴールドメッキを掛け、手焼きの美しいブルースチールのネジを配するなど、ムーヴメントにもこだわってきた。一方、そのムーヴメントにはエボーシュを使い続けてきたが、時計師クドケのこだわりは、ついに初の自社製ムーヴメントを開発するにまで至った。
そして初の自社製ムーヴメントとして発表されたのが、その名もカリバー1だ。開発に際し、かつて自身で購入したものの、長い間引き出しのなかで眠っていた古いイギリスの懐中時計がアイディアの源泉となったとのことだが、外見はまさにイギリスの懐中時計のようなスタイル。だが、そのディテールはいかにもドイツ的特徴を備え、クドケに新たな魅力を加えるユニークなムーヴメントとなっている。(文◎佐藤杏輔)
KUDOKE クドケ
カリバー1
バーゼルワールド2018に先駆けて発表された、クドケ初の自社製ムーヴメント。ドイツとイギリスが時計製作において協力関係を築いていた古き良き時代に敬意を評し、古いイギリスの懐中時計から着想を得たという。