TPOに合わせて、アニエス・ベーの腕時計(写真下)と、CBCラジオの特製ウオッチ(写真上)を使い分けているという神戸さん。どちらも自分らしい生活スタイルに欠かせないものだ
日本を代表する個性派俳優の一人、神戸浩さん。映画『男はつらいよ』シリーズや『学校』『ALWAYS 三丁目の夕日』など、これまで数多くの国民的作品に出演してきたが、テレビのバラエティ番組や雑誌のインタビュー記事に登場する機会は、あまりない。メディアに露出して有名になることよりも、役者であり続けることを誰よりも大切に思っているからだ。
「テレビに出るメリット、デメリット。どちらもあると思うんです。確かに宣伝にはなるだろうけど、リスクも大きい。僕は20年前と20年後の映像、どちらにも出ている役者になりたいんです。僕がデビューした頃の役者で、もういなくなっちゃった人がいっぱいいる。この世界は、変なことをやっていたら、すぐに消えちゃう。僕は死ぬまでお芝居というオモチャで遊んでいられれば、それでいい。テレビにたくさん出て、いっぱい稼いでも、お金を持っている人は使っちゃうしね」
そう話し、穏やかに笑う神戸さん。じつは今回の取材も受けるかどうか、だいぶ悩んだという。
「最終的に、自分の好きなアニエス・ベーを紹介してもらえるなら、いいかなと思って(笑)。僕はずっとアニエスが好きで、普段からお店によく行くんですよ。今日着ているジャケットもアニエス。店員さんが僕の持っている物を把握していて、翌日の衣装のイメージを伝えるだけで、コーディネイトの仕方を教えてくれるぐらい。
腕時計を購入したのは10数年前。主に制作発表や打ち上げなど、ネクタイをするときに身に着けてます。よく見かける定番モデルですけど、腕時計も洋服と同じブランドで合わせたほうがいいかなって。みんな持っている物なら『それ、同じだね』って会話に入れるというのもあった(笑)」
仕事もファッションも、「コレ!」と決めたら揺るがない。そんな神戸さんには、愛用している腕時計がもう1本ある。
「CBC(中部日本放送)ラジオの特製ウオッチ。僕は愛知県出身なんですけど、中学生の頃とか、あまり学校に行っていない時期があって。そのときにずっと聞いていたのが、CBCラジオの深夜放送だった。今ではすごく仲がよくなって、収録にも遊びに行ったりしています。この腕時計は、局の打ち上げのときにもらった物で、ラフな格好のときはこれを使っていますね」
こだわりを持ちつつ、背伸びはしない。どこまでも「自然体」という言葉が似合う神戸さんだった。
HIROSHI KANBE 1963年生まれ。愛知県出身。1982年より劇団プロジェクトナビを経て、現在に至る。1991年、映画『無能の人』にて報知映画賞 最優秀助演男優賞を受賞。1997年、映画『学校Ⅱ』にて日本アカデミー賞 優秀助演男優賞、全国映連賞 男優賞を受賞。その他、『男はつらいよ』シリーズ、『たそがれ清兵衛』、『Always 三丁目の夕日』、『母べえ』など、多数の映画・ドラマに出演。趣味は、真空管アンプとPAスピーカーでジャズを聴くこと。来年は、出演映画『キツツキと雨』『テルマエロマエ』『ALWAYS三丁目の夕陽'64』が全国ロードショー。