ルチアーノ・フォルネリスのデザインによるシチズン エコドライブを愛用。夫人からバースデイプレゼントとしてもらった大事なアイテムだ
講演会や旅番組の収録でほぼ一年中全国を飛び回るダニエルさんにとって、時計は必需品だ。愛用の時計は、奥方からプレゼントされたシチズンのソーラー時計だ。
「持ち物全般に実用性重視で、ファッションのことはあまり考えないです。講演では舞台の上で照明を浴びながら、残り時間を気にして話さなきゃいけないでしょ。でも舞台上で時計を覗き込むわけにいかねえから、どうしても見やすさが大事なんです。でも、これ、暗い場所だと全然見えなくなるし、ゴールドが乱反射して舞台上だと使いにくいんですよ。考えてみれば全然実用的じゃねえな(笑)」
持ち物全般に実用性重視で、ファッションのことはあまり考えないです。
講演では舞台の上で照明を浴びながら、残り時間を気にして話さなきゃいけないでしょ。
だからといってまだ使える時計を簡単に買い換えたりはしない。ダニエルさんは質実を旨とするドイツ系移民の末裔。物はとても大事にするのだ。
「父親も物を大事にする人で、それは徹底して叩き込まれましたね。最初に手に入れた時計はタイメックス。10歳のころにクリスマスプレゼントで買ってもらった。安物なんだけどタフでね。当時のCMでも『ショックプルーフ、ウォータープルーフ』ってよく言ってたな。大学を卒業して山形に来てからも使ってたから、本当にボロボロになるまで使い倒しましたよ」
最初に手に入れた時計はタイメックス---
大学を卒業して山形に来てからも使ってたから、本当にボロボロになりまで使い倒しましたよ
ベルトがボロボロになってからも、ポケットに入れて持ち歩いていたというからすごい。そんな傷だらけのタイメックスに、旅行中助けられたこともある。
「2度目の日本留学のとき、ヒッチハイクの貧乏旅行をしてたんですよ。途中で人に会う約束があって、そのときだけ会津若松から新潟まで列車で移動したんです。金がねえから鈍行に乗るつもりで、切符を買ったら30円くらいしか残らなかった(笑)。新潟に着いたらトラベラーズチェックを換金しようと思ってたんだけど、そのときに間違えて特急に乗っちまったんだよね。そのうちに車掌さんが検札に来るでしょ。しょうがねえからボロボロのタイメックスを見せて、『こういう事情でお金を持っていない。唯一の金目の物がこの時計なので預かってください』って一生懸命説明して。わけのわからないガイジンにボロ時計を押しつけられてなんとかしてくれなんて、車掌さんもさぞかし困ったと思うよ(笑)。きっと面倒くさくなったんだと思うけど、最終的には『もういいよ』って特急料金を払わずに勘弁してもらえたんですよね」
若き日のダニエル青年の窮地を救ったタイメックス。その状況を想像するとなんともユーモラスだ。
DANIEL KAHL 1960年3月30日、アメリカ・カリフォルニア生まれ。少年時代から日本に興味を持ち、独学で日本語を学ぶ。高校・大学時代には留学生として日本を度々訪れ、大学卒業後に文部省の英語指導教員として山形県に赴任して山形弁を習得する。「山形弁を話すユニークな外国人」というキャラクターが注目を浴び、バラエティ番組出演で大きな注目を浴びる。最近はコメンテーター、講演、書籍執筆など多方面で活躍している。