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第20回 アメリカの時計史を彩る傑作ムーヴメント2002-09-28
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見失われがちな本質
 2006年が明けた。暮れから新年にかけてマンネリ化した番組のなかで面白い番組がふたつあった。ひとつは有名な歌番組がひとりのスーパーマンの力を借りて下り続ける視聴率を上げる苦労話。もうひとつが庶民の味ラーメンの店に順位を付けるもの。ベスト4に残った店は材料が決められた新作ラーメンを作り、ゲストと500人の視聴者の投票で1位から4位を選ぶという。ともに新しい試みで努力の跡は見られるが、本来の意図したものからまったく別の番組になってしまったようだ。

 前者は暮れに行われた本番は見ていないので的外れになるかもしれないが、本来は歌の良さを味わう企画が、脇役である司会者のトークに重点が移ってしまうのではないか。

 後者のラーメン番組は歯に衣着せぬゲスト審査員の発言によりお笑い番組になってしまった。大事なベスト4を決めるのに、通常作っているラーメンとは異なった新作ラーメンというのはちょっとおかしい。常にマスコミで取り上げられたことにより繁盛店となり、多店化した従業員を多く抱える店でなければ90分の間に500食作ることは不可能だ(もちろん味は良いのかもしれないが)。

 時計の世界でも同じことがいえる。前者がムーヴメントより外装に宝石を遣って高級品のイメージを定着化させた時計。後者は自ら大量の宣伝費をかける。または宣伝費はかけないがマスコミが取り上げてくれて有名になった時計。今回は実力がありながら評価の低いアメリカ4大時計の残り3社を紹介する。

 まずはウオルサム。キャリバーは不明(1930年頃製造)。懐中時計では有名だったウオルサムも時刻合わせに4つバネというソロバンの玉のような形のバネを使っていて、その部品が破損すると代替品がなく、修理不可能なため、腕時計の時代になると4大時計のなかで最初に衰退した。しかし、この時計は懐中時計時代の高級さを随所に留めている。切り天輪、ブレゲヒゲ、ヒゲ持ちの変わった留め方、細い緩急針、シャトン止め穴石、3種類の仕上げなどがそれである。










軍用時計から音叉まで
 エルジン軍用時計はキャリバー539(1940年代製造)。文字盤と裏蓋にはUSN BUSHIPSと印されている。複雑な構造からも推察されるが、防水性を必要とした特殊な分野で使われたのだろう。一般の軍用と比べるとかなり高額だと思われる。現在も高額ファッションメーカーで似たものが販売されている。ムーヴメントも黒い塗装を施し、独特な雰囲気が感じられる。秒針カナも受けでしっかりと固定されている。

 ブローバのキャリバー7APはETA735をベースにしている(1940年代製造)。アメリカ4大時計のなかでは最も早くスイスと提携したので最後まで存続することができた。ETA735はETAの角形ムーヴメントのなかでナンバー2の傑作機であった。ブローバにも自社製の角形は存在するが、精度安定と低コストを目指してスイス製大型ムーヴメントを採用した。高級なブレゲヒゲを採用している。

 もうひとつのブローバは軍用時計。キャリバー10BNCH(1940年代製造)。軍用時計に求められる耐久性も当時としては最新の耐震装置の採用によりさらに向上している。裏蓋には細かな仕様が8行にわたり刻印され、修理の際にすばやく部品の交換が可能であった。軍用時計に関しては日米の力の差は歴然としており日本の敗北は必至であった。

 最後はブローバ・アキュトン。キャリバー2141(1960年代製造)。ゼンマイと同じくらいの小さいな電池の開発により、ゼンマイ式時計も電池式に変化し、テンプ方式を経て、より振動数が高い音叉時計が誕生した。テンプでは不可能な300振動を実現するが、さらに高振動のクォーツへと移り変わっていく。わずか10年の歴史ではあったが、スイスや日本でも現地製造された。

 このように、アメリカ時計は1940年代にスイス製と偈を肩を並べた。50年代、60年代には精度の面では小型電池の開発による電池式時計が一歩リードするが、70年代になると日本製クォーツに取って代わられるのである。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
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