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第14回 自社一貫製造を行っていた頃のロンジン2002-09-28
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スイス高級時計に出会う
 1950年代、小学生の私は町の小さな時計店の2代目である父親に「一番いい時計は何?」とよく聞いたことを覚えている。「動物では何が一番強いの? ライオン? それともトラ?」という、子供にありがちな質問だが、家業が時計店ということもあり、私も多少時計に興味があったのだろう。

 最初に質問したときはハミルトンと答えてくれた。敗戦後、アメリカ軍が進駐してきた横須賀では、それまでに目にした日本製の廉価版とは違うレベルの欧米製を、羨望の眼差しで眺めていたのだろう。その後同じ質問をしたときには、ロンジンと答えていた。その頃には戦後の復興も軌道に乗り始め、スイスの高級時計も徐々に日本に輸入されていたのだ。

 1960年代にスイス製高級時計といえば、インターナショナル、ナルダン、ロンジン、オメガの4社であった。それぞれ日本の輸入代理店の経営姿勢がきちんとしていたからで、パテック・フィリップや「ローレックス」はまったく無名であった。なかでもロンジンは古くから日本に輸入されていて、知名度はナンバーワンであった。今回はロンジンを紹介したい。

 キャリバー10.86N(1930年代製造)は、調整可能なヒゲを持ち、ブレゲヒゲ、角穴車の配列など、インターナショナルとともに3大時計に匹敵する、ロンジンでも最高峰に位置する時計だ。腕にフィットするようにカーブしたトノー形のケースは、まだ普及していなかった角形のムーヴメントを使用することなく、おしゃれな変形角形ケースに収めたいという苦肉の策であり、多くの時計メーカーが採用した。










コレクションの始まり
 キャリバー23Z(1950年代製造)は、この時計こそ私が機械式腕時計のコレクションを決意した第1号機である。10.86Nと比べるとレベルは下降線をたどっているが、日本製時計を見慣れている私にとっては驚異であった。

 重厚感溢れる材質は摩耗の心配をまったく感じさせず、面取りや曲線を描く部品の一つひとつがていねいに作られている。1985年に入手した。すなわち、ムーヴメントがクォーツに移行することを信じて疑わなかった時代に、滅びゆく過去の人類の遺産をコレクションし始めたのだった。

 キャリバー13.33(1912年頃製造)は、腕時計のクロノグラフの第1号機と推定される。懐中時計の時代から自社でクロノグラフを製造していたロンジンが、腕時計サイズの13型になったと考えるのが自然であり、自社で製造したのことのない自称第1号を主張するB社には不可能だろう。瞬間的に分を送る30分積算計や、リューズの上にあるピンを押して時刻を合わせをするなどの懐中時計時代の特徴が見られる。黒いセト引きのダイヤルは希少であり、高級感に溢れている。

 キャリバー13.68(1940年代製造)は、2時の位置にあるプッシュボタンを押すとセンターセコンドがゼロに戻り、そのまま動き続ける。この方式はフライバックと呼ばれ、一定間隔で大砲を発射させるときに便利なように開発された。ムーヴメントの50パーセントはクロノグラフと同じ構造になっていて、以後のロンジンのクロノグラフは通常の装置のほか、この機能も追加されるようになる。

 キャリバー13ZN(1950年代製造)では、通常のクロノグラフのほかにフライバック機能が追加され、他社にはないロンジンならではのクロノグラフが完成した。ヒゲ持ちの調整装置や部品の仕上げ、4番車に圧入されたドライビング車を受けで固定させる方法など、高級時計メーカーのロンジンが総力を挙げて作り上げた超高級クロノグラフとなった。他社のクロノグラフが機能だけを追求したのに比べると、高級感に満ち溢れている。

 高級感ではインターナショナル、宣伝による知名度ではオメガに一歩譲るものの、一般的なムーヴメントのみを製造していた2社と比べると、マニア受けするメーカーであった。残念ながら現在はエタ社のムーヴメントを使用しているが、かつてはオメガとともに数量の上ではスイスを二分する自社一貫製造メーカーであり、外装の再現だけでなく、ムーヴメントを復活させて欲しいものだ。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
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