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第13回 IWC(インターナショナル)の技術が輝いていた時代2002-09-28
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最高の中三針時計
 平家物語に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあわらす」とあるように、頂点を極めると、それを持続することは非常に難しい。三大時計を陰で支えてきたインターナショナルの未来を暗示しているようだ。超高額時計がセールスポイントにしている「手作り」とは1900年までの懐中時計の時代までであり、腕時計にはまったくあてはまらない。

 100分の1ミリの部品精密度が要求される腕時計は、精密な部品が製造可能な工作機械の発明によるのである。スイスの懐中時計時代までの手作りから、近代的な工作機械を設備し最高級腕時計を本格的に作り始めたのがインターナショナルである。ライン河畔に現在も名残をとどめている(建物だけであるが)。

 キャリバー83(1930年から製造開始)はブレゲヒゲ、ヒゲ持ち修正装置(ヒゲゼンマイの位置と角度をヒゲを曲げることなくヒゲ持ちで修正できる)を備えている。インターナショナルを代表する直径27ミリの丸形ムーヴメントで1947年まで作り続けられた。上から見てわかるように、6枚の受け(ブリッジ)で構成されているのでコストはかかるが、必要な部分だけが分解可能なので修理のメリットは大きい。このムーヴメントに緩急針微調整装置が付けば、パテックと同等といっても過言ではないほど優秀である。

 キャリバー60(1943年から製造開始)は、名機キャリバー83を直径23ミリの10型に小型化した。驚くべきことは、三番車が四番車に接すると同時に、中心に配置された四番カナにより中三針にできたことだ。通常二針用のムーヴメントに改造する場合は三番車を2枚にするのだが、他者と比べて合理的、理想的であり、四番カナも受けを付け固定しているなど、時計史上最高の中三針時計である。










三大時計を陰で支える
 キャリバー87(1931年から製造開始)は、丸形が主力ではあるが。おしゃれな角形を好む人もあり、角形ケース用として角形ムーヴメントを少数ではあるが作る必要があった。少数の角形ムーヴメントを作れることが一流マニュファクチュールの証でもあった。キャリバー83より1年遅れで完成したキャリバー87は、のちのパテックのキャリバー9-90にも影響を与えた最高傑作である。

 四番車でに秒針が取り付けられているため、秒針が不規則な動きをすることもない。1938年に開発された小さな10型のキャリバー62(二針)、61(中三針、60の原形)や、83とともに、大小や丸形のすべてのケースに対応するムーヴメントを持ち、ジャガー・ルクルトとともに三大時計を支えてきたのである。

 インターナショナルが初めて自動巻きを開発したのが1950年である。ムーヴメント製造専門メーカー(エボーシュ)が1930年頃から自動巻きを開発したのに対し20年くらい遅いが、これは開発できなかったのではなく、しなかったのである。だが、インターナショナルもようやく自動巻きの開発に着手し、巻き上げ効率の優秀なベラトン方式を完成した。二針の81、中三針の85、852に続き、カレンダー付きのキャリバー8521(1952年から製造開始)が誕生した。前に解説した3種類のキャリバーと比較するとレベルダウンしているが、比べる相手が悪すぎるのだ。反面、緩急針微調整装置が取り付けられ、アップしている点もある。

 キャリバー8541(1957年から製造開始)は、キャリバー81、85から始まる852のグループがインターナショナルの第1世代とすると、854のグループは第1世代を発展させた第2世代に当たる。形状はそのままに薄型化され、カレンダーも設計当初から取り付けられている。午後11時45分から午前0時までの15分間長針を左右に動かす日付け早送り装置は簡単で、故障を誘発させることがない最高の方式である。

 パテックを支えた大規模なマニュファクチュールの最高峰にあったが、現在は懐中時計と同じ大きさのムーヴメントをかろうじて作っているだけだ。非常に残念なことである。エタのムーヴメントを使用し、会社としては利益を上げているが、いつの日かよきパートナーと出会い、再びナンバーワンに復活することを切に望んでいる。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
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