POWER Watch|パワーウオッチ 
CONTENT'S SELECT
ご覧になりたい記事分類のカラーチップをクリックしてください。
記事フリーワード検索: 
全 544 件:    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 
件表示
第12回 ナンバーワンの多いジャガー・ルクルトその22002-09-28
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

角形ムーヴメントの傑作
 本誌で紹介する腕時計は大部分が私のコレクションである。タイプ別にナンバーワンの時計を集めることを心がけていると、1回で紹介しきれないほどジャガー・ルクルトのコレクションが多くなってしまい、2回に分けて紹介することになった。もちろん私のコレクションのなかでは、ジャガー・ルクルトがタイプごとに最も多くの優秀な時計を製作したことを物語っている。

 キャリバー436(1943年頃製造)はジャガー・ルクルトを代表する角形ムーヴメントの傑作であり、長期にわたり製造が続けられた。角形は設計が難しいため、各メーカーとも一旦製造を始めると、細かい改良をする程度で長く作り続けることが多い。また、角形ムーヴメントを作ることが自社一貫生産の証明となった。

 ケースはレベルソと呼ばれ、裏返しになるユニークな構造になっている。裏返しにして裏蓋の金属部分を表にしておけば、ガラスと文字盤部分を表面にしておくより耐久性が優るのである。この構造は1980年代の後半にドイツ人の故ブルムライン氏によって復刻され、低迷していたジャガー・ルクルトを立ち直らせたのみか、崩壊していたスイス時計を蘇らせることになった。しかし、このオリジナルのケースは復刻版をはるかに超えた頑丈な作りで、私も未だにケースを完全には分解できない。

 キャリバー486AW(1949年頃製造)は、436に月、日、曜日、月齢が追加され、横23.6ミリ、縦40.7ミリの小さな角形ケースに納められている。角形の小さなムーヴメントに、トルクが必要な多くの機能を追加することは技術的に非常に難しい。歯車を一つひとつ丁寧に磨き、弱いゼンマイのトルクで精度を高めることに一日の長があるジャガー・ルクルト故に可能な技術で、強いゼンマイの力に頼って精度を出すR社やO社より高く評価したい。ケースは金張りだが、カルティエに供給されたものには金無垢もある。ただし、300万円以上と非常に高価になっている。










古き良きムーヴメント
 キャリバー412(1938年頃製造)は、ムーヴメントにキャリバーナンバーが刻印されていない。ブリッジ(3番受け)の形状は異なっているが前出の2つと同系である。文字盤には針式カレンダーと窓式曜日が配置されている。長角のオシャレなデザインに実用的な日付けと曜日は相反するが、それらが絶妙なバランスで配置されており、はかには例を見ない、非常に希少価値のある時計に仕上がっている。

 キャリバー810AW(1950年代製造)は一見するとメモボックスのように見えるが、実はカレンダー付きである。中央のプレートの三角形は外側にあるカレンダーを指し示している。リューズ中央のプッシュボタンを押すとプレートが回転し、カレンダーの次の日を指す。これも他社には例を見ない独特の機構である。

 キャリバーP494/1A(1947年頃製造)は、直径33ミリのケースいっぱいにムーヴメントが納められている。容積としてはキャリバー486AWより大きいが、31日1日になるときに月が自動的に変わる。ほとんどのトリプルカレンダー付きが月を手動で変えるのに比べると、一歩永久カレンダーに近い複雑な構造である。ケースの足もオシャレなティアドロップ型でベゼルはピンクゴールドである。

 今回紹介した時計はジャガー・ルクルトの独自性が最大限に発揮されたものばかりである。角形のケースには角形のムーヴメント、丸形のケースも小さく、裏蓋を開けるとムーヴメントがぎっしりつまっている。それに比べて現行品は、ケースが正方形でも中身は丸形、大きなケースに小さなムーヴメント。古き良きスイス時計を知る者にとっては悲しいことである。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
辛口ムーヴメント講座|バックナンバー
全 544 件:    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 
件表示
TIMEGear ONLINE SHOP|タイムギア オンラインショップ
C's-Factory|電子書籍オンラインショップ
メンテナンス110番
せっかく手に入れた高級時計。できれば末永く愛用していきたいと誰もが思うことです。
しかし、腕時計も多くのパーツで構成されている精密機器のため、美しくしかも正確さを維持していくためには、それなりの日頃のケアと定期的なオーバーホールが必要不可欠です。
そこでここでは、自分でできる日常の簡単メンテナンス法とオーバーホールについて紹介します。

パワーウォッチ新刊案内
ビギナー必見!
時計選び成功の法則教えます。

定価:¥850
発売日:奇数月30日(隔月刊)