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第11回 ナンバーワンの多いジャガー・ルクルト2002-09-28
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優秀なメモボックス
 年に1度の世界最大の時計のイベント、バーゼルフェアが今年も4月中旬から開催された。ムーヴメントにこだわる私にとっては、中身は同じで、デザインとブランド名で価格が決定される現行品には年々失望感を禁じ得ない。とはいっても時計好きが集まるお祭り。欠席するわけにはいかない。時計研究家を自負する私にとっては、今後の時計界の動向を知るうえで少しは役に立つ。デザイン的には角形やインジケーター付き、全盛期(40縲・0年代)の復刻版などが目についた。残念ながら自社一貫製造のジャガー・ルクルトは、買収元の意向でジュネーブの展示会に移動してしまったので、バーゼルで見ることはできない。

 過去には3大時計に基礎となるムーヴメントを供給するなど、ジャガー・ルクルトは日本では無名であったが優秀なムーヴメントを製造し、特に3大時計と競合しない特殊時計の分野では、数多くのナンバーワンといえる時計を作っていた。

 ジャガー・ルクルトというと一番先に思い浮かべるのがアラーム付きのメモボックスである。キャリバー489は1949年から製造が開始され、会社が低迷した時期を除いて、最近まで多少の改良をしながら製造し続けていた。小さなムーヴメントの中にアラームの機構を追加することは非常に難しかったが、アラームのセット、リセットなど、構造的に最も優れていた。

 キャリバー601は、489やそれ以降のメモボックスが回転盤によりアラームのなる時刻を設定しているのに対し、針を使用した非常に珍しいものだ。601という番号も現在は他のキャリバーに奪われ、ジャガー・ルクルト本社でも把握していないほどである。

 キャリバー825は、メモボックスに半回転式自動巻き装置を付けて1959年から製造開始された。その後全回転式自動巻きも開発され、現在もマスターレベイユとして製造されているが、それを超え、489をも超えた最高のアラーム付き時計である。残念ながら自動巻き機構を追加したため、当時の超高級時計のサイズと比べるとふた回り位大きくなっているのだが。












独創的な技術開発
 キャリバー497は1951年から製造が開始された非常に興味のあるムーヴメントだ。一定以上巻き上げられない手巻き用ゼンマイを使用した半回転式自動巻きである。通常の自動巻きは、ゼンマイが一杯巻き上がると自動巻きローターから力が伝わらないように、巻き上がった状態でゼンマイがスリップして力を逃がすように作られている。簡単だが理想的な構造である。

 この時計はゼンマイが巻き上がるとレバーが外側に動き、先端のピンがローターのフックと接触してローターを動かなくしてしまう。こうしないとゼンマイに異常な力が加わり、時計の精度が狂ってしまう。非常に複雑でジャガー・ルクルトらしい発想である。フューチャーマチックと命名され、未来を思考した時計だったが、コスト高のため、未来にはばたくことはなかった。

 キャリバー481は1948年から製造開始された。当時ようやく自動巻きがユーザーから認知され始め、各社とも手巻きから自動巻きへと移行した。しかし、手巻きが固くなるまで巻けば一日以上動くのに対し、自動巻きは巻かれているか否かがわからずなかなか普及しなかった。そこでジャガー・ルクルトは、どれだけゼンマイが巻けているかを表示すればよいと考え、巻き上げ時間を示すインジケーターを付けたのだ。現在もまた、インジケーターが見直されているが、このキャリバーはムーヴメントもしっかりしていて、インジケーター付きとしてはナンバーワンの時計である。

 キャリバー813は1957年から製造開始され、当時流行の薄型化を目指した。窓式のカレンダーも取り付けられたが、他社が新しい全回転式を採用するなかで、相変わらず半回転式であった。ジャガー・ルクルトの半回転式は巻き上げ効率もよく、あえて厚くしてまで全回転式にする必要性を認めなかったのであろう。

 タイプ別ナンバーワンをコレクションしている私にとって、ジャガー・ルクルトは必然的に最も所有本数が多くなってしまった。次回も紹介しきれなかったジャガー・ルクルト編を続けたいと思う。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
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