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第10回 オメガの歴代傑作モデル2002-09-28
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高級時計の代名詞に
 かれこれ40年くらい前になるが、男性の三種の神器と呼ばれるモノがあった。腕時計のオメガ、ライターのロンソン、万年筆のパーカーである。男性が自己を主張するために身に付けるもので、誰が見てもセンスある良い物として自他共に認められるそれぞれの分野での一流品である。残念ながら、40年の歳月は、ロンソンは100円ライター、パーカーはボールペンに主役の座を奪われ、見る陰もない。かろうじて、オメガのブランドは残っているものの、自社一貫生産を止めてしまっている。

 今回は、1940年から60年代にかけてのオメガの自動巻きのムーヴメントを年代順に、ベースとなったものを取り上げてみた。当時、日本では、スイスの高級時計といえばオメガで、現在にあてはめるとロレックスとパネライとフランク・ミュラーをすべて合わせたくらいの人気があった。

 キャリバー324はオメガが最初の自動巻きキャリバー330(1943から製造)と基本的には同じである。半回転一方向巻き上げ式と呼ばれ、自動巻きのローターは120度しか動かず、ローターが左方向に回転した時にゼンマイが巻き上げられる(一方向巻き上げ)。理論的には現在の全回転両方向巻き上げ式自動巻きと比べると巻き上げ効率は悪そうだが、実際は、非常に効率はよい。高級時計メーカーの自動巻きとしては、ロレックスに次ぐ古さである。驚くべき効率の良さは、ローターの回転がわずか1個の部品を中間に配置するだけで、丸穴車に伝えているからである。部品の点数が少ないほど、ローターからの力がダイレクトに伝えられ、ゼンマイ巻き上げ効率が良くなる長所がある。短所としては、中間の部分に強いトルクがかかり摩耗しやすくなるが、スイス時計には伝統的な材質の良さがあるため、この短所を見事に克服している。マジックレバー式を採用した時計メーカーは効率は良いものの、ローター中心部の変心ピンに摩耗が見られた。半回転式の長所として、薄く出来ることもあり、40年以上の長期にわたり、製造が続けられ、スモールセコンド式のクロノメーター、中三針のコンステレーションに発展し、量と質の総合力でスイスの高級時計の代名詞となった。








復活の日は来るか?
 キャリバー355はベースの353に緩急針微調整装置を追加し、クロノメーター規格のムーヴメントと同様にグレードアップされたものである。ベースとなったキャリバー353は、オメガ最初のカレンダーが窓の中に数字で表示された時計であり1950年から製造されている。それ以前は文字盤の外周部に1から31までの数字が印され針が示す数字が日付けを表していた。意外と窓式カレンダーの歴史は浅いのである。この時計には文字盤にシーマスターの表示があるが、防水時計を意味するこの愛称名は、オメガを代表するコンステレーション(クロノメーター規格のオメガ最上級の時計)よりも歴史が古いのである。

 キャリバー491はベースとなった470と共に、オメガ最初のローターが左右どちらの方向にも回転(全回転)し、どちらの回転でもゼンマイが巻き上げ(両方向)られる方式である。ここで面白いのは、先に中三針のキャリバー470が1955年から製造され、同年ではあるが、番号から見ると後から作られたと思われる490が小秒針で構造上逆行していることである。パテック最初の自動巻きが1953年製であるのに、ローター中心の支持部分を強化するため、中心部に中三針用秒針カナにせず、そのスペースをローター支持強化にあてたのと、同じ理由なのかもしれない。しかし、両方向巻き上げの部品が遊星軍と呼ばれ、接触したり離れたりするのと、両方の部品が鉄と真鍮で強度が違うため、柔らかな真鍮の部品が摩耗するトラブルも発生し、短命に終ってしまう。キャリバー561はベースとなる550が1958年頃から製造された全回転両方向巻き上げ式自動巻きの第二世代で、キャリバー490の遊星軍を廃止し、常に二重の車が2個かみあって、ローターがどちらに回転しても、ゼンマイを巻き上げる。この改良により、オメガの自動巻きは最盛期を迎え、オメガにあらずんばスイスの高級時計にあらずと言われるほどの名声を勝ち得たのである。24石、緩急針微調整装置付きとコンステレーション以外のオメガも同等のムーヴメント(キャリバーナンバーは変えてはいるが)を使用した。高価格のムーヴメントを低価格にも使用し、ムダな二重投資を避けるという今では信じられない投資もした。いつかはオメガを持ちたいという、三種の神器の神話が生まれたのも当然の結果である。

 いつもオメガの栄光の歴史を記事にする度に結びは同じになるのだが、オメガの自社製ムーヴメント復活を望みたい。良い時計とは良いムーヴメントを使用した時計であるからだ。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
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