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第8回 ローレックスが開発した2大特長2002-09-28
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変わらないムーヴメント
 高級時計というと誰もが「ロレックス」と言う(私のように古くから時計業界にいる者にとっては、「ローレックス」と呼ぶほうが親しみがあるが)。

 確かに知名度ナンバーワンで、ローレックスを取り上げると雑誌の売り上げ部数も伸びるらしい。車の雑誌が、ベンツやポルシェの特集をやると同じ現象が起こるというのと似ている。

 私もローレックスは、時計史に残る魅力あるメーカーだと思っている。ムーヴメントが変わるごとにコレクションしている。現在は知名度ナンバーワンから価格ナンバーワンを目指しているようだが……。ゴールドを素材に使用していてもムーヴメントそのものは変わっておらず、ケース素材が金ムクだから高くなっているにすぎない。金ムクだけでは足りず、ケースや文字盤、さらにはベルトまで、ダイヤや宝石をちりばめ数千万円の高価な時計が誕生する。

 しかし、数千万円のローレックスも30万円のローレックスも、曜日の表示は付いたりするがムーヴメントは基本的に変わってないのだ。われわれがローレックスに抱くイメージは、実用時計ナンバーワンなのである。

 ローレックスの誕生は1905年頃と非常に新しい。すでに懐中時計で確固たる名声を得ていたスイスの高級時計メーカーが、腕時計に主力を推移する頃に、ローレックスはイギリスで生まれた。当初は商事会社的で、自社でムーヴメントを製造しているわけではなかった。

 のちに時計王国スイスに移るが、新興勢力として売り上げを伸ばすには、先行する老舗の高級時計メーカーがやっていないことで評価を勝ち取る方針を選んだ。その1つが防水性の強化であり、もう1つは自動巻き機構の開発だった。写真はローレックス社の2大特長の1つである、オイスターパーペチュアルをモデルチェンジごとに並べたものである。










他社にさきがけて開発
 腕時計は水に弱い。どんな優秀なムーヴメントも水が入ってサビてしまうと修理不能になる。そこでローレックスは防水ケースに注目して、オイスターを1926年から採用した。オイスターとは貝類の「かき」のこと。ネジ込み式になった裏ぶたとリューズが、ケース内に水が浸入するのを防ぐのだが、かきが2枚の貝がらをしっかりと閉じることの意味を連想させる。

 オイスター社は1925年に画期的なオイスターケースを発明し、イギリス、スイス、フランス、アメリカ、ドイツの先進5カ国でパテントを取得している。プロトタイプのモデル以前のオイスターケース(写真1)には、ローレックスの文字はまったく刻印されていない。

 通称バブルバックと呼ばれるオイスターパーペチュアル(写真2)には、裏ぶたの内側に同じ5カ国の刻印があり、外側にようやく、非常に小さくローレックスの刻印が見られるようになる。その後はオイスターウオッチカンパニーの刻印はなくなり、ローレックスの刻印がしっかりと刻まれるようになった。

 もうひとつの特長であるパーペチュアルは自動巻きを意味し、時計は手巻きという常識を破る大胆な試みであった。

 中級のムーヴメントを専門に製造している会社では、ローレックスが開発する以前から、さまざまな方法で自動巻きへの挑戦が行われていたが、なかなかうまくはいかなかった。高級時計メーカーは従来の手巻きを維持し、自動巻きの必要性を感じていないため、開発することもなかった。ローレックスだけが高級時計でありながら、自動巻きの開発に意欲的で、1930年代(ローレックスの公式発表では1932年)には全回転式の自動巻きを作り上げた。

 全回転式とは自動巻きのローターが360度回転する方式で、現在はこの方式が当たり前になっている。当時はローターが90度しか回転しない半回転式が珍しくなく、そうした他社の方式と比べると進歩したもので、巻き上げ効率も高かった。

 そのほかにも、ゼンマイがいっぱいに巻き上がり、それ以上ローターから力が加わるとスリップする現在と同じ方式が採用されているだけでなく、スリップを一定させるために、ゼンマイを納める香箱と呼ばれるケースの内側に溝をつけるなどの工夫もされている

 この画期的なオイスターパーペチュアルの成功により、一躍ローレックスが高級時計の仲間入りをしたのである。プロトタイプは5年程前まではほとんど知られていなかった。これはゼンマイがスリップするのではなく、角穴車がスリップする方式を採用した珍しい時計である。

 次回もローレックスを取り上げて、さらにオイスターパーペチュアルおムーヴメントを紹介したいと思う。
※この記事は本誌第6号(2002年9月28日発売)から第30号(2006年9月28日発売)にわたって掲載された人気連載企画です。
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